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後悔は死ぬ程してる【誠凛の長視点】
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洛山から、すべての領域を見渡す。
豊かで、美しかった世界は崩壊し、ボクの好きだった景色は二度と見られなくなっていた。
ついに、陽泉と洛山も世界を出た。誠凛も全員、扉の向こうに消えた。
「何だ、お前もまだいたのか」
少し呆れたような声がして、トップが入ってきた。
赤司くんはハッと鼻で笑って言った。
「そっちこそ、世界が終わる前に僕と決着をつけに残ったのかい?」
「いや。もう、こうなったら悪魔も鬼もないだろう。俺は悪魔のトップだ。トップが仲間置いて逃げる訳にはいかないだろう」
「同感だ」
赤司くんは笑った。その時悟った。
二人はこの世界とともに消えるつもりなのだと。
嫌だ。そうはさせない。ボクの生まれ変わりと出会い、彼らを幸せにした未来を、壊したくない。
「だがその前に……トップ、力を貸してくれ」
「……おう」
「テツヤ」
赤司くんがボクの名前を呼んだ。ボクは赤司くんの方を見た。何を言うのか、想像したくない。
「今から僕とトップで、洛山の扉を開ける」
「!」
「トップを温存したのは、最悪こうなると想定したからだ。お前一人を逃がすくらいなら、何とかなるだろう」
赤司くんは。この期に及んで、ボクを逃がすと?
「ありがとうございます」
礼を言ったあと、ボクは赤司くんの頬を叩いた。
赤司くんはキョトンとして、頬を押さえていた。
「丁重にお断りします」
「いや乱暴だし」
トップが何かツッこんだ気もするけど、無視をした。
「ボク、言いましたよね?キミを助ける為に戻ったと」
「お前の体は、もうお前の生まれ変わりの物だろう」
「そうですね。でも、ボクはキミを置いて出ていくつもりはありません」
ボクは彼の目を睨むように見つめた。彼は珍しく動揺していた。
「人間のボクを、若様を裏切らせてまで鬼にしたのはキミだろう!!その責任はしっかり取れ!!」
「……テツヤ」
後悔は死ぬ程してる。でも、だからと鬼を嫌いにはなれなかったし、赤司くんを恨んだ事は一度もない。
「征十郎!」
怒鳴ったボクと同じくらいの声をあげて、征十郎くんが入ってきた。
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