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side一期一振
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鶴丸殿に抱き締められて、居心地の良さにほっとすると、いよいよ涙が止まらなくなった。
好きだ、と言う言葉を頂けた。
叶うことのない思いだとどこかで諦めていた。
「俺が君にしたことが赦される事だとは思わない。歴史修正に敵がやってきたら昨日のことを修正して貰いたい位だ」
「ふふ・・・それは困りましたな」
昨夜の事を謝罪しながらも、冗談めかした事を織り交ぜて喋る、いつもの鶴丸殿が傍にいるだけで自分の口元が緩んでしまう。
「本当に申し訳ない・・・。こうやって一期にもう一度触れる事が叶うとは思っていなかった・・・」
「私も、もう鶴丸殿とは昨日で幕引きだと思っておりました。こんな風に今二人で居られる事が奇跡のようです」
昨夜を思い出すと、まだ少し胸は痛んだけれど、それを悔いている目の前の鶴丸殿を見ると自然と痛みは和らいだ。
そもそも、私はこの人の気持ちなど考えたことがない。
私の望みを叶えてくださって、それに満足していて、そこに彼の感情を必要としていなかったのだから。
彼の気持ちが私に向く可能性を少しも考えず、だからこそ彼は悩み苦しんだのだ。
酷い目に合わされたからと、彼だけを責める気など到底起きなかった。
酷いのは余程私の方だったのかもしれない。
でも、必要としなかったはずなのに、いつの間にか欲しくなっていた、彼の想い全て。
他に向く事を想像するだけで、消えたいと思ったほどに。
そんな身勝手な思いで、ここにいる全てを振り回してしまった。
私の方が余程罪深いのかもしれない。
「赦されるなら、私は鶴丸殿の傍に居たいです。これからも貴方に触れていたいし、触れて欲しい。・・・私も大概身勝手ですなぁ」
「赦される?君は赦す側だろう?」
「私の狡さの話ですよ」
鶴丸殿は、訳が分からないといった様子で、首を傾げている。
「鶴丸殿、触れて頂け、ます、か・・・?」
それは精一杯の誘いの台詞。
鶴丸殿は意味を察し「驚きだな・・・」と小さく呟く。
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