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「おれさー、卒業したら親父の会社継がなきゃなんねーんだよなー」
浮気されてても俺とは普通に続いていて今日も伊吹との情事のあとふと伊吹が初めて、自分のことを話した。
伊吹の実家はかなり大きい会社のようで大学までは好きにさせてやるがあとは会社に骨を埋めろ的な感じで親に言われたらしい。
だから今、やりたい放題、浮気し放題ってか…。
乾いた笑いが漏れた。
「会社継いでーどっかの女と結婚してー子供産んでーなんかつまんねーよな…」
と言葉を続ける伊吹は少し弱々しく感じた。
初めてはっきりと自分の気持ちを話してる。
「伊吹はさ、なんで建築選んだの?」
俺の言葉が意外だったのか、目を見開いたがすぐに口を開いた。
「昔からさ、建物の中でも美術館とか博物館とかが好きでさ。それ以外にも古い建物とか見て、昔の技術ってすげーなーとか感じててさ、俺もこんなん作りてーなーって思ったんだよね」
伊吹の目は今まで見たことないくらいキラキラしてた。
夢、諦めきれないんだろうなって思った。
けど、今の伊吹には会社を継ぐ以外の選択肢はないんだ。
「そっか。見てみたかったかも。伊吹が手掛けた建物。きっと素敵だろうね」
ただ純粋にそう思った。
このとき、すでに付き合いも三年目に入り、就職活動やら色々と忙しくなってきていた。
俺は卒業と同時に別れることを決意していた。
俺たちに未来はないとわかっていたから。
浮気を咎めたこともない。
むしろ今しか自由に出来ない伊吹の心の拠り所になれない自分を責めていた。
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