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基の変化。 立川さんside
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俺が基の目を見ながらそう言うと、驚いた顔をして少し口角を上げながら「…………綺麗でしょ?」と一言言葉を発した。
「………………あぁ、。……言葉の存在を脅かすくらい綺麗な写真だな、…。」
「…………ふふふっ、…やっぱり、立川さんは分かってくれるんだ、……やっぱりこいつ綺麗だよな、。」
こいつ…………?
基のその言葉に引っかかる。
基がこいつって言うって、…
そんなことを思っていると
「、じゃぁ、もうどうせ立川さんには後々バレそうだから見せますよ、…っつーか俺もこのこいつの美しさを誰かに分かってもらいたいと思ってて、、」
基がなぜかにやにやしながらそう言ってバックの中からさっきとは違う真っ白い紙の表情にパラフィン紙がかかっているポートフォリオを出して俺の前に置いた。
「……どうぞ」
「…………見ていいのか、…?」
「…………はい、……あ、。引かないで下さいね?!」
基はそう言いながらくすくすと笑った。
さっきの帝大の写真を見せた時よりも数倍楽しそうで、…しかも何故か今まで見たことのないような恥ずかしそうな顔をしていた。
緊張しながらページをめくる。
そこからはあまりの衝撃の連続に、ただただ唾を飲み込みながら食い入るように見たのを覚えている。
……ただ、確かなのは、一瞬言葉を忘れてしまうほどにその写真達が美しかったという事。
基にしてはありえない程珍しい特定の一人の人間が必ず写り込むその写真達は、どの写真も個展のメインとして使えるほどの力があった。
…………というか、どうしても無視出来ない事が、…
「………なに、。…お前、ストーカーしてんの…?」
まだ目は写真に向けたまま静かにそう言うと、
「…………、っああ"違いますってっ、!!!」
急にそんな声を上げて基は俺の目からその写真をものすごく荒く奪った。
俺はその本を目線で追って基の顔を見上げると、基が口角を上げたまま俺の事を睨んでいた。
「…………え、なに違うの?」
「………っだからぁ、違いますよ、!!…………って、……言われてみればそんなような気もしてきちゃいますけど、、」
基はそう言って語尾をゴニョゴニョ濁らした。
「……ははっ、…まぁ、アーティストなんてストーカーみたいなもんだろ。…………それにしても、……」
「………………?」
「……………こんないい写真、なかなか出会えるものじゃないな、。」
鳥肌がまだ取れない、と俺も苦笑いしながら基にそう言った。
「…………ふふっ、…でしょ、?
………………俺、身震いしたもん、初めてこいつのいる光景を見たときに。」
「…………。」
基がニヤッと話題ながらそう言う。
……その顔には、さっきまであった曇りなど微塵もない。
「……………美しいって思ったんだ、。……ゾッとするくらい、。…初めて。……何気ない日常が、あいつがいるだけで非日常的美しさを生む。」
「……………。」
「…………なんつーかもう、あいつがいない風景が物足りなく感じてしまうくらい、…………あいつに、俺、興味あるんだと思います、。」
「………………っ、!!」
基はそういうと俺から奪ったその写真をジッと見つめて静かにそう言った。
そして「……だから言葉にすると難しくてなんつったらいいかわかんねぇんすけど」と笑みをこぼした。
……いやいや、……。
基のその確かに拙いその言葉は全てを物語っていたように感じられた。
……つーかこいつが人に"興味がある"ってこうもちゃんとはっきり言うなんて。
…………明らかに前の基とは違っていた。
つーか人に興味持てないかもしれないとかなんとかほざきやがった側で、こんなすぐに興味持てる人間と出会えるって、笑どんだけ幸運な奴なんだよ、。
「…………お前、ほんっとなんつーか、…もってるよな〜、…ははっ、。………」
「…………なんすか、。笑わないで下さいよ、…」
「いや、…こっちの話。笑…………で、この人は?…この写真はいつ発表するの?」
当たり前のようにそう聞く、しかし
「………だからまだダメです。……今の所全く発表する気もないですし、立川さんにだってこいつが誰だか教える気もないです。」
基もそう当たり前のように答えた。
……って、は?
「……っは?!なんで?!?!ーーー……つーか別に名前くらい教えてくれてもいいだろ?!なんでダメなんだよ!!」
その写真が奇跡の写真だったが故にものすごく気になってしまう、。
というか、別に名前教えたくらいでどーこーなるなんてないわけだし、つーか俺に教えた時点で話は何も変わらないのになんでダメなんだよ!!!!!
そう思い少し焦りと戸惑いを感じながら基を見ると、
「……俺だってようやくこいつとコミュニケーション取れるようになったのに、世間に写真を発表するなんてもったいなすぎ。……こいつのこと知るのはまだ早いんすよ。」
と、基が若干怒り気味にそう言った。
そんな予想外な子供のような理由に、こいつが餓鬼だとわかっていながらも驚く。
「…、だからたとえそれが立川さんだとしてもダメ。
名前ぐらいって思っても、あいつの事をちょっとでも知ってるってことがズルいから名前も教えない。
…………がまんできなかったから写真は見せちゃったけど、。」
そんな事を基は口を尖らせながらいう。
なんだこいつ、……。
小さいガキが、好きな女の子がほかの男子と喋ってるのを見てヤキモチを焼くような感覚なのだろうか、。
……こいつは本気で人に興味を持ったことなかったからこんなこいつ今まで見たことなかったけど、…なんつーか、……超めんどくせぇ!!!!笑
数週間前まで"大人な恋愛できねぇのかよ"とかほざいてたはずなのに、いざ自分の身に降りかかると誰よりも餓鬼なんだな、。笑
…………でもまぁ、……、、……こいつが誰かに興味を持ててるということは、俺にとってすげぇ嬉しい事なんだけど、。
俺はそんな初めて見る基に少し呆れながらこれからの期待を感じたのだった。
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