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蜂の死骸と不死身の言葉。 都side
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ーーーーーーーー……
ピッ…ピッ…ピッー…………
…………………………パチっ、…
「…………ッっ、」
目を開くと真っ白い沢山の光が目に入ってきた
それがすごく眩しくてまたすぐ目を瞑る、。
そして今度はゆっくりと光の量を絞りながら瞼をあける、
白い天井、……白い光、…………鼻をかすめる薬品の匂い、……それから無機質な機械音、…………
…………あれ、………この状況、……初めてじゃない気がする、……
……って事はまた大学の保健室、……、?…いや、……違う、……あそこは窓から大きな桜の木が見えるはずだから、…………
平らなベッドに横になったままの状態でこてん、と横を見ると、なにか矢印のついたボタンのようなものがあってふいに押してみる、
すると、ウィィーーーン……と自分の上半身がゆっくりと徐々に起き上がっていき、…ベッドのリモコンだったんだと理解した。
身体が起き上がってさっきよりも桜の木の見えない窓が大きくなったように感じる。
でも依然とベットからでは窓の外なんか何も見ることができなくてここが何階にあるのかも把握できない、……それが無性に怖くて、ベットから身体をのりだして窓の外を見ようと試みたが、
「……………っ、!」
身体につながる沢山の管や線のおかげでそれが阻まれてできなかった、……同時に右手に鋭い痛み、……
……、……点滴、…………?
右腕から繋がるその管を目で追っていくとポタポタと液体が落ちる袋のようなものにたどり着いて、……
なんで点滴なんて刺されてるのだろう、……と一瞬疑問が浮かんだのだけど、……ふと自分の左手に包帯がぐるぐる巻いてあるのを見つけてすぐに何が起こったのだかを思い出した、…………
……………………というか、……、
……………………逢坂さん、…………、、、?
少し落ち着いて周りをキョロキョロ見渡すと、ベットのすぐ脇の椅子に腕を組んで、くて……と俯く男の人が目に入ってきた。
………あまりにもそれが静かだったから全く気配に気づかなかったのだけれど、…………
その長い手足に、無造作のオシャレな髪型は顔が隠れていても明らかに僕の知ってるあの逢坂さんで、……
…………逢坂さん、………寝て、…るの、…?
スーー……スーー……と小さく寝息が聞こえる、。
……服装が、…昨日一緒に街を歩いた時と同じだ、…………、って、……あれ、……、…?
確かあの時は、………夕暮れだった気がする、……。
……今は、……部屋の中にめいいっぱいの光、。
……どう考えたって夜じゃない、それは朝だった、……
……………もしかして、…僕を病院に連れてきてくれて……そのままずっと一緒に…いてくれた…、?
僕はもう一度そのこくこくと眠る男の人の方に目を向ける、。
起きる気配はない、……スースーと寝息を立てる、
……逢坂さん、…疲れてる、………………?
………… 逢坂さんが、何をしている人なのか僕は何も知らない、。
酒井先生や、…同じ研究室の人が有名なカメラマンだと言っているのは聞いたことがある、。
確かにいつも大きなカメラを持っているし、……よく僕の事をファインダー越しに見てくるから本当の事なのだとは思うのだけれど、……
…専門家でも知らないような作家を知っている、…先生と話す時はとても気さくに話してる…、僕に本を貸してくれる、…僕に花をくれる、…
……それに、……この人は僕が本当はしゃべれる事を知っている、。
それを知った上で僕の事を同情したり蔑んだりしてこない、。
……有名なカメラマンの人がなんでそんな僕にかまうのかがよくわからない、。、……なんでどうでもいい僕なんかに急に怒ってくるのかがわからない、。……なんでそんなに僕と会話しようとしてくるのがわからない、……
人と関わりたくない、………人に知られたくない、…触れられたくない、……傷つけたくない、……
……なのに、この人は僕にその判断を曖昧にさせる。
……いつも、………こうして、……助けてくれる、
……気づいたら、……こうして、……
僕が初めて出会った、………とても、…とても変な人…。
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