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『西園寺 奈津美』の脅迫
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その後も
『西園寺 奈津美』は
僕に当て付けるように
『周防 恭介』との仕事を増やし
その度に自慢してきた
「恭介って可愛いのよー
この間フレンチに連れていこうとしたら
『カレーライス食べましょう』だって!
この『西園寺 奈津美』に
カレーライスを勧めてきたのよ?
信じられない!」
はぁ?
こっちはあんたの行動が
信じられないよ
「…………息子と同じくらいの年の男に
一喜一憂とか、マジでキモいから」
「……………あら、
恭介は年齢よりもずっと大人だし
セクシーだし、
何より頭がいいわ
あんたも『周防 恭介』に会えば
すぐに彼の魅力にハマるわよ」
「……………………」
つか、先に見つけたの
僕だし
言われなくたって
彼が魅力的なのはわかってるよ
「…………なんなら、
彼に会わせてあげましょうか?」
―――………
媒体を通してでしか
彼に触れることができない僕にとって
心を揺さぶられる
悪魔の囁き
「……………興味ないって言ってるだろ」
「…………………」
いつもこのやり取りになると
『西園寺 奈津美』は
不敵に笑う
「そうだ!
自分で会いに行ったら?」
「はぁ?意味わかんない」
『西園寺 奈津美』は
自分の部屋に戻ると
すぐに帰ってきて
パサッとテーブルに
パンフレットを置いた
それは
『周防 恭介』が通っている
高等学校の案内状だった
「あんた、ここに通いなさいよ」
「はぁ?イヤだよ
第一志望はもう決めてるから」
「なら、学費は出さない」
「なにそれ、脅迫?」
「ここに通って、彼に会いなさい」
「………………イヤだ」
「もしも彼に会って
彼を落とすことができたら……
私、芸能界を辞めるわ」
「はぁ?」
「辞めて、
あんたの母親になってあげる」
…………今さら遅いよ
「僕には何のメリットもない話だね」
「じゃあ、
『周防 恭介』は関係なく
そこに3年間通い続けたら
今後あんたの人生に干渉しない
…………これはどう?」
「…………………」
「ただ、もしも恭介と
何らかの関わりを持ったら
あんたのその後の人生、私が貰うわよ」
……………どっちにしても
学費払ってくれないなら
そこに通うしかないだろ
はじめから僕に
選択させるつもりないくせに
よく言うよ
けど…………
彼を間近で見ることができる
絶好のチャンス
この人の言うように
関わらなければ…………
遠くから見るだけなら…………
――――僕は返事をする代わりに
パンフレットを手にして
自分の部屋に戻った
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