アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
扉は開かない、窓は高い位置にあるし人が通れる大きさでもない。
なのにこの男は、マットのホコリを払い平然とそこに腰を下ろした。
「まきまきも座ったら?」
ぽんぽんと隣のスペースを叩く。状況が読み込めてないわけでもなさそうだし、なんだろうなこのリラックス感。
「俺サンタのせいで出られなくなったんだけどどうしてくれるんですか」
「ごめんなぁー」
「ぜったい思ってないだろ!」
だめだ。こんなホコリっぽいところで、しかも出られないとなると発作が出るかもしれない。俺自身どういう状況で過呼吸になるのか全然覚えてないけど、肺の弱いやつがこんなところにいたらやばいってことぐらい分かる。
危機感の欠けらも無い、こんなのと二人で。
「⋯っはぁ、とにかく出られる方法⋯」
ホコリが舞って深呼吸もできない。じわりと冷や汗が滲み出てくるのがわかる。
「まきまき、」
「大体っ、なんでお前が来るんだよ⋯っ!!俺が手紙出してないって気づいてたんだろ!?なのに⋯っ、」
喉が締まる。
胸の中央が踏みつけられるような感覚。
「⋯まきまき、ええから座って。」
「はッ⋯はぁ⋯ッ、なに、」
「大丈夫。」
腕を掴まれ、無理に引き寄せられた俺はサンタの胸板に鼻を強打し痛さで涙が出そうになった。呼吸は苦しい、鼻は痛いで「何してくれんだこのボケ」と睨んでやろうと思ったのに動けない。
どうにか離れようと腕に力を入れたところで、背中を包むあたたかい手のひらに気づいた。
「こんの⋯っ、ばか、苦しいって⋯」
「大丈夫。俺の心臓の音聞いてて」
「⋯⋯っは、」
どくどくと、サンタの心臓がすぐそこで動いてる。振動は耳に伝わり、集中すると自分の鼓動もそれに合わせるかのように呼吸が楽になってく。
過呼吸になったのはサンタのせいだけど、生き返ったような安心感で一言「ありがとう」と言おうと顔をあげようとしたその時、
「⋯ほんまに体ちっちゃいな」
と関心と侮辱を含めた一言が聞こえたので頭上の顎に頭突きし体を離した。
後ろに倒れたサンタは顎をさすり涙目で起き上がる。
「痛っ⋯!なんで頭突き!?」
「なんというかもう本当にお前は残念なやつだ」
「俺のイケメンなFaceが傷付いたらどないしてくれるん⋯」
知るか。顎割れろ。
「ツンデレって怖いな⋯」
「はぁ!?デレてねぇよばか!!」
「叫んだらまた苦しなんで。おとなしぃしとき。」
こいつ本気か⋯?誰のせいだと思ってんだ⋯
「この小屋結構ボロいから体当りしたら破壊できるんじゃ⋯」
「体弱いのになんで体張ろうとすんねん」
「じゃあなんか案考えろよ!!」
「考えるもなにも⋯もうすぐ完全下校の時間やし、過ぎたら誰も来んから無理ちゃう?」
「じゃあなに、明日の朝誰かに気づいてもらうまで出れないってこと?」
「せやな。」
「せやな。って、なにお前余裕なの!?この状況でなにニコニコしてんの!!」
「ははは」
いや意味わかんねぇし笑うな腹立つ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
148 / 219