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義彦さんのママ
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「……義彦さん!」
理仁にバイバイし終わった俺は、義彦さんに駆け寄った。
すると、肩を落としながらうずくまっていた義彦さんは俺の声に気がついてぱあっと明るい笑顔を見せてくれる。
「ママッ!」
シュッと効果音が鳴りそうなくらいに俊敏に立ち上がって俺を抱きしめてくれる。
人の慣れっていうの、本当にすごいと思う。最初は嫌だったけど、ここ何日間ですごく安心するようなものになった気がする。いっつも『ママ。ママ』って言ってくれて頼ってくれる感がすごくいい。
「義彦さん……苦しい……」
―― ああ、きっとダメなんだ。
もう俺は義彦さんと言う大人の皮を被った幼子から
目を離せなくなってしまっているんだって。
義彦さんは顔はかっこいいくせに、中身はこんなにも可愛くて子供だ。
きっとそれは、
俺と同居し始めて最初に話してくれた義彦さんは
大手スポーツメーカーの次期社長だっていう御曹司で、
英才教育を受けさせられて、両親は仕事でほとんどいなかったんだって。
「ごめん、ママ。苦しかった?」
ふふっと微笑みかけてくる義彦さんは、やっぱり可愛い。
最初は変な奴とか思ってたけど、今はそんなことない。
ここ何日間一緒に住んで分かったんだ。
ずっとあの家で寂しかったんだ。
独りぼっちでずっと頑張ってきたんだよね。
「ううん。あ、今日はタイムセールだよ、早くいかなきゃ」
ベル君のリードをもらいながら俺はそういうと、
少し早歩きで歩き出した。
スーパーまでの道、
ベル君がいう事を久しぶりに聞いて嬉しいという話を何度も聞きながら
俺は、今の生活を楽しく思い始めていた。
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