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Encounter_14にしおりをはさみました!
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Encounter_14
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「ただいまー……」
寝てるかもしれない雪を気遣って、小声で声を掛ける。
結構急いだつもりだったが、買い物に思ったより時間が掛かったらしい。部屋は赤っぽいオレンジで染まっていて、もう夜になりかけている時間帯だ。
リビングにそのまま向かうが、ぱっと見では雪はまだ起きてないみたいだ。
…しかし様子を見に、寝室へ行くのも気まずい。
なんせ未成年相手――しかも病人に、その行為ですらもトラウマかもしれないって言うのに手を出したりして……ああ、考えただけで頭が痛い。
買った物を冷蔵庫に入れながら、盛ってしまった自分を酷く後悔する。それから、雪の姿を未だに鮮明に頭に刻み付けている単純な自分にも腹が立った。
目の前の陶器の様な白い肌。
受け入れる様にそっと目が閉じられて。
睫毛がお互いにぶつかるくらい顔を近づけて、雪の柔らかい唇を貪って。
口内を蹂躙する征服欲と背徳感に酔いしれて、それから唇に赤く垂れる血を舐め取って――
「………」
いつの間にか開けっ放しにしてた冷蔵庫のピーピーという音で、ふと我に返る。
…ああ、本当に馬鹿だ。
初めてAVを見た中学生男子か俺は…
気まずいなんて理由で、雪を放っておく訳にはいかない。
脳裏に焼き付く雪の色っぽい姿を、頭を振って掻き消す。
邪な考えを振り払って、恐る恐る寝室を覗き込んだ。
「雪ー…?」
返事は、無い。
よく見れば、布団はぺたんとしてて。雪はどこにも居なかった。
何だ…?トイレか?
「雪?」
そう思ってトイレに向かうが、トイレは真っ暗なままで鍵も掛かってない。
「雪!」
まさか、外に出たのか!?
直ぐにソファに放り投げていた上着を引っ掴んで袖を通そうとして――ぴたりと、手を止めた。
ソファの端っこ、朝俺が目覚めた時に雪を見つけた場所に。シルバーの毛並みの尻尾が力無く床に下ろされているのがちらりと見えたからだ。
上着を置き直して、そっと近付く。雪は膝に顔を埋めて、俺が近付いても顔を上げようとはしない。
「雪…?どうかしたか?」
ぽす、と頭に手を置いて、軽く撫でてやる。雪は相変わらず耳を寝かせたまま、ゆっくりと、顔を上げた。
その顔は、まだ熱のせいか頬を赤く染めていて、瞳は…どれ程泣いていたのか、真っ赤に腫れている。
雪は焦点の合わない瞳で俺の姿を捉えると、また、その赤く腫れた目からぽろぽろと溢れさせてしまった。
「怖い夢でも見た?」
そう聞いても、雪はふるふると首を振るだけで何も答えない。まだ信用されてないみたいで、ちょっと傷付いた。
しかし、おいでと腕を広げてみると、雪は少し躊躇ったものの擦り寄って来てくれて、なんだか嬉しくなる。
「……飯にしよ?」
わしゃわしゃと、シルバーの頭を撫でる。
その言葉にしゃくりを上げ続ける頭がやっと縦に振られて、俺はほっと安堵の息を吐いた。
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