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閉店時間にしおりをはさみました!
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閉店時間
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「西川ちゃん、上村君は?」
乱れた髪を整えながら、雄大はレジにいた西川に尋ねた。
「あぁ…店長帰ってきたから、倉庫かな?それとも帰宅前の野上さんに捕まったからしら?」
後半は苦々しそうに言うので、雄大は急いで口を開いた。
「あっ、野上さんはさっき帰ってたよ。店長、帰ってきたのかー。僕まだ見てないなー。」
「ゆーちゃん、加藤さんと喋ってたから。また、加藤さん達とご飯行こうよ!ゆーちゃん!」
雄大は焦ったように腕を振った。
「それはまたね!で、上村君、なんか困ってたみたいだけど知らない?」
西川はそれを聞いて、ポンっと手を叩いた。
「そう言えばさっき、受注商品の事、聞いてきたけど…」
「なんだ….そのことか…」
雄大はホッと息をついた。
(だから写真は撮られてないから!!)
雄大は言い聞かせるように頭を叩いた。
閉店時間
(結局、上村君とはあの後、全然被らなかったな…)
まだ上村の事を気にしている複雑な気分のまま、雄大はゴミをまとめていた。
「よし!」
1、2、3…
(昨日のゴミ出してなかったから…)
2つゴミ袋を両脇に持つものの、3つ目は咥えても持たない重さだ。
(でもゴミ捨て場外の1番端っこだし…往復すると…)
店内はすでに片付けが着々と終わっている様子だった。
「これは俺が持って行きます。」
悩む雄大の横からヒョイっと日に焼けた腕が伸びた。
「あっ…」
顔を上げると上村が、一番重いゴミを持ち、スタスタと雄大の前を歩いて行った。
カンカンカンカン
外階段は音が響く。
雄大は上村の首筋を見ながら、言葉が見つからなかった。
ありがとうを言うべきなのに、上村からは憮然としたような空気が出ていて、話しかけづらかった。
(ありがとう、ありがとうは言わなきゃ!)
ゴミ捨て場はモールの裏手に大きな倉庫が建てられていた。
上村が先にごみ捨て場の倉庫を開け、中にゴミを入れた。
次に雄大が倉庫に入ろうとすると上村から手を差し出された。
「あっ、ありがとう!」
雄大はいそいそとその手にゴミ袋を渡した。
すると上村はゴミ袋を持ったまま、しばらくそのゴミ袋を見つめていた。
「俺、何やってんだろう….」
「上村君?」
雄大は首をかしげて、上村を見ていると突然、上村は持っていたゴミ袋を雄大に投げつけてきた。
「うわっ!!」
中身は軽いゴミだったが、雄大はその場に尻餅をついた。
「な、なにす…」
雄大が身体を起こそうとすると上村が胸ぐらを掴んで来た。
「どういうつもりであんな写真、送ってきた?」
頭の中が真っ白になった。
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