アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
両極端な2人の間でにしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
両極端な2人の間で
-
「あぁ、そういえばお前、加藤と何があった?」
急に成康の話が出て、雄大はハッとした。
「えっ?何?」
「ん?いや……」
雄大は不安を隠しきれず、黒田に迫った。
「何なんですか?成康さん、どうしたんですか?」
「いや…」
黒田は言いにくい顔をして、1つため息をついた。
「いや…昨日、加藤の奴が庶務課の女の子に日曜日誘われてたんだよ。断るだろうと思ったら、普通にオッケーしてたから…日曜はお前の誕生日だろう?」
「………」
「思い当たる節は?」
雄大はズルズルと後ろへ引き下がり、頭を振った。
黒田は「はぁっー」と息を吐き、顔を下に向けた。
雄大は目の奥と鼻の奥が痛くなってきた。
「あいつは意外にヘタレなんだよ。」
「えっ…?」
雄大は顔を上げると厳しい顔をした黒田がいた。
「負け試合はしないタイプだから。」
「負け…?」
「気持ちってのは脆いからな。特に年を重ねた方が脆くなるから…」
黒田の声が向こうの方に聞こえる。
(何言ってるのかわかんないよ…)
今朝から薫っていた化粧水の香りが、もう消えていた。
「椿さん、すみません。」
ジャックオーランタンを取り出し、並べる雄大の横に上村が座った。
「…もういいの?」
雄大は俯いたまま、作業を続けた。
「えぇ。」
「……告白されたの?」
一瞬、上村の息が止まったようだった。
「はい。でも断ったから。」
雄大は口がカラカラになるのを感じながら、口を開いた。
「….…何で…」
「どうあがいても椿さんが好きですから。」
雄大はバッと顔を上げた。
「うわっ。何ですか?そのひどい顔は。」
眉を潜めながらも笑顔の上村がいた。
「ひどい?」
顔を拭おうとすると、上村が手で雄大の顔を拭った。
「ひどいです。誰がそんな顔させたの?」
上村は優しく雄大の顔を掴むとそのまま顔を近づけた。
チュッ
額に軽い音と柔らかい感触がする。
「あっ、今日、すげぇいい匂いがする。」
上村は更に顔を近づけ、クンクンと雄大の首元を嗅いだ。
ガシャガシャガシャン!
「なっ!?」
雄大は額を押さえ、後ろへ後ずさった。
「あぁ…ジャックオーランタンが…」
普通に飛び出したジャックオーランタン達を拾い集める上村に雄大は目を見開いた。
「て、店内だぞ!!」
上村ははぁっーと息を吐いた。
「なんか俺、かなり諦め悪い奴だったみたいです。」
詩央里の言葉が頭を巡る。
”付き合いだしてから、好きになる”
(違う!僕は!!)
雄大はドドドドっと高鳴るの胸の服を摑んだ。
(心臓が高鳴るのはビックリしたから?そうだと言ってくれ!)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
98 / 147