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思違いの日曜日にしおりをはさみました!
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思違いの日曜日
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「…そうだよ…」
手に小さな小石が何個かついた。
目の前には成康に寄り添う女性がいる。
「僕が悪いんだよ。。何も気づかずに呑気に誕生日を過ごした僕が。。貴方に期待した僕が!」
雄大は小石を投げ捨て、立ち上がった。
「雄大君…?」
「何故です?別れたかったんでしょう?僕と。」
成康は目を見開き、女性は眉間に皺をよせて雄大を見ていた。
でもそんなのどうでもよかった。
「別れたいなら別れたいって言えば良かったのに…まわりくどく僕から離れようとしたんですか?あっ!それとも自分を悪者にならないようにするために、僕から言わせようとしたんですか?」
「違うよ!」
成康は拳を握り、顔を赤くして、立ち上がった。寄り添っていた女性も慌てて立ち上がった。
「違うよ…だって雄大君の気持ちが…」
「何ですか?僕の気持ちが重たかったんですか?そうですよね、所詮、僕は下っ端の店員ですもん。貴方とは不釣り合いですよね。ただの暇つぶしで僕をおちょくってたんですよね?」
「そんな事ない!!」
成康が明らかに怒った様子で目を吊り上げていた。
「…そんな事ない訳ないじゃないですか!」
泣かないと決めていたのにホロリと涙が溢れた。
成康の怒った顔が、急に引いていくのがわかった。
「成康さんの気持ちはいつだって掴めない!本当に僕が好きなのかも、いつも不安だった!何も……成康さんは何も言わない、何も表に出さない、それなのにそんな事ないなんて…僕にわかるわけないじゃないですか….」
一度崩壊したダムは止める事なんて出来なかった。
雄大は鼻をすすりながら、何度も嗚咽にも似た息苦し泣き声を上げた。
「ゆ、雄大君….」
成康が手を伸ばそうとする。
雄大はそれを払いとるかのように倒れた自転車を立ち上げた。
雄大はジッと成康を見つめ、意を決して口を開いた。
「だから僕が言ってあげます。」
雄大は大きく息を吸った。
「…成康さん、別れて下さい。」
あとはどうやって帰ったかは覚えていない。気が付いたら家で、気が付いたら自転車のタイヤがパンクしていた。
頬の傷に涙が伝う。
「最悪の…誕生日だった…」
頬の痛みは心の痛みの100倍もマシだった を
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