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空の願いにしおりをはさみました!
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空の願い
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ホントに起きてるかな?
もし寝ていたらまた出直そう
奏の部屋のドアをノックしながらたくさんのフルーツを見つめた
「入れ」
相変わらず無愛想な声だ
「入るぞ~」
奏の部屋に来るのは久しぶりだしやたらと広いから苦手だ
「どうした?」
「空の具合をね」
「ああ、今目を覚ました」
「そか、じゃ顔を見てくるよ」
「正面の部屋にいる」
「オッケー」
正面の部屋ね
一番豪華な部屋に空はいるらしい
またドアの前に立ち、声をかけてみた
「空」
「どうぞ」
起きてるな・・・・・声もしっかりしているし安心した
「入るぞ」
重いドアを開けて中に入ると、空が体を起こしていた
「おいおい、まだ寝ていろ」
「うん、喉が」
「俺がやるから」
「ありがとう」
空らしいな
奏を呼べばいいのにそれをしないところが空らしい
薬草の入った水をグラスに入れて空に渡した
「綺麗な色」
「体にいい薬草だから」
「苦い?」
「いや、無味」
「そか」
一気に飲む空を見つめて、微笑んだ
「はぁ、美味しかった」
「そかそか」
元気だな
でも、上辺だけかも知れないけど
「元気そうで安心したよ」
「ごめんね、ありがとう」
「もう気にするな、空は何も知らなかったんだから誰も責めたりしないよ」
「・・・・・・・・・うん」
「元気出せって!」
「ありがとう」
う~ん
いきなり話をふるのはどうなのかな
困ったぞ
「そうそう、ドラゴンはどうだ?」
「うん、元気みたい」
「そか」
「だって温かいし」
「へぇ、そうなんだ」
「うん」
このまま話を持って行くか
「なぁ、空」
「ん?」
「たとえ話をしないか?」
「たとえ話?」
「そそ、例えば・・・・・もし願いが一つだけ叶うとしたら空は何をお願いする?」
「願い事?」
「そそ」
「ん~~」
やはり、帰りたいだよな
「現実世界に戻りたいってのもあるけど・・・・」
「うん」
「もし、願いが一つだけ叶うのなら」
「叶うのなら?」
「平和な世界にして欲しい」
「えっ?」
「戦争のない平和な世界・・・・・凱や楓や奏が闘わなくてもいい世界」
「・・・・・・・空」
「それが俺の願い」
「お前」
「凱、泣いてるの?」
「ば、ばかっ!虫が入ったんだよ」
「そか」
やばい
マジで泣いてるし
どうして空は自分の事ではなくみんなの事を考えるのだろう
「ホントに願いが叶えばいいな」
「そうだな、きっと叶うさ」
「うん」
でも空・・・・・・もしその願いを叶えてもらったら、お前は二度と帰りたい場所へ戻る事は出来ないんだぞ
「じゃ、ゆっくり休めよ」
「ありがとう」
「またな」
「うん」
何だろうこの気持ち
嬉しいはずなのに苦しい
空がずっとここにいる世界を望む反面、空を帰してやりたいと思う気持ちもあって・・・・・
「はぁ・・・・・・」
そのまま部屋には戻らずに、浜辺でぼんやり月を見ていた
今夜は満月だから心が不安定になるのかな
「見つけた」
「楓」
「浮かない顔だね」
「そうかな」
浮かない顔か
確かにそうかも
「空には聞けた?」
「ああ、参った」
「そう」
「何だお前、空の答えを知ってるみたいな言い方だな」
「何て答えるかは想像がつくかな」
「言ってみろ」
「みんなが幸せになれますように・・・・・かな」
「・・・っ!」
「当たり?」
「・・・・・・・・だな」
「だから空にたまごを託したのかもね」
「そうか・・・確かに人間は欲を出してしまうし、自分の事しか考えていないかもな」
「だね、でも空は違っていた」
「ああ」
「俺は、凱がそんな顔をするのが辛いな」
「ごめん、俺どうしていいのかわからないんだ・・・・空とずっと一緒にいたいのは本当だけど、それで空は幸せなのかって考えるとさ」
「凱は優しいね」
「・・・・・・・・そんなんじゃないよ」
「俺が好きになった人だから間違いない」
「楓」
「ドラゴンがたまごから孵るまで後半年・・・・・それまでに空の気持ちが変わるかも知れないね」
「なのかな」
「とにかく、一緒に居られる時間を大切にしないと」
「ああ、そうだな」
半年か
どう変わればみんなが笑っていられるんだろう
もし、空が消えたら俺は笑えない
どうすればいいんだろう
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