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37話にしおりをはさみました!
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37話
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いつの間にかあみは子供用のベッドで寝ていた
寝顔が天使すぎて、鼻血出そう。
「…おやすみ、あみ」
スースーと寝息を立てて眠るあみの額を軽く撫でて
自分もすぐ隣の寝室へと向かう
布団に潜り込み、さっきの事を思い返す
久しぶりに来た玲子からの着信
あいつはあいつで、もうすでに相手が居るみたいで
今は幸せらしい。
そんな中でもあみの事が気になり電話をよこしたと。
『アキラ、仕事はどうなの?まだあのカメラマン染みた事してるの?』
「うっせーな、話それだけ?もう切るで」
『あーん、釣れないわね。待ちなさいよ、あんたに言わなくちゃいけない事があって電話したの』
「何?」
『あみの事、ちゃんとあたしもサポートしたいの。でも直接は会えないから、一応何かあったら連絡して。…で、風の噂で聞いたんだけどあんた、今男と付き合ってるの?』
どんな風の噂やねん
誰やゆうたの、でてこんかい
「だから何?」
『いいえ?別に問題ないわ?…頑張ってね今度は逃げられないように。ふふ。』
「…はっ、お前よりええ女やわ」
小馬鹿にされたような気がして、憎まれ口を叩く
『なっ…!?ひどいわね…ん?おんな?…まぁいいわ、お互い幸せになりましょうよ、じゃまたね、さよなら』
それで通話は終わり
誰が言うてんのか気になるけど
玲子とは別れてからの方がよく話すようになった
って言っても、数回しか連絡は取ってないけど。
「ふぅ…幸せ、か」
ふと、玲子に言われた言葉を復唱する
実際、昔はあみといる事が幸せだと思っていて由木がよく家に来るようになってそのうち家に住むようになってきて
今じゃ由木無しじゃいけないような気もして
今では、あの二人がいてこその幸せ、だと思って。
なのに
さっき由木を泣かせてしまって
何が何だか、分からなくなってきた。
「…はぁ、もうあかん考えるの疲れた。寝よ」
思考を止めて、目を閉じる
が、
数分経っても眠気が訪れない
目をゆっくりと開き、隣を見ても由木はいない
それからまた何時間か経っても、全く眠くならず
由木も寝室へ来る気配はない
「何してんの、あいつ…」
気になるとジッとしていられず、ベッドから離れ明かりの灯るリビングへと向かった
「由木ー…」
返事がない
「由木?」
あ、いた。
ソファーに頭をうつ伏せにして、寝てる?
「由木、こんなとこで寝たらあかんやろベッド行くで」
ユサユサ、と肩を揺らす
「…ん、…」
目を擦り、こっちを見た目が赤く少し腫れていた
「由木、抱っこする?」
「……あっ、…陽くん、ごめ、ごめん…っ」
「え?」
意識がハッキリしたのか、目が合いすぐに謝られた
「もう、聞かないから…っ、ごめんね…面倒くさくて、ごめん…」
…何?そんなに謝らんでもええのに
別にそこまで怒ってもないし、もう気にしてもない。
「もし、…もし、その…二人が、やり直すって事になったら僕っ、すぐに出て行くから…だから…」
「やり直す?玲子と?」
何言うてんの、ほんまに
「…」
口を固く閉ざし、開こうとしない由木に話しかける
「由木、何考えてる?」
「…」
「お前は変な事に頭回してるみたいやけど、心配するような事は全くないから。…玲子とはやり直すつもりはないし、今の関係のままでいいと思ってる。由木とあみがいてくれるだけで、それだけで幸せやと思ってる。…まだ足りやん?」
本音を言った
伝わるだろうか
「っぼ、…僕も、幸せ…けど、陽くんが他の人を見るのは耐えられないよ…っ、でもそれが普通だし…応援しなくちゃいけないんだけど…でもっ」
そんなのどうでもいい
目の前の幸せだけで充分ちゃうの?周りの意見を気にして、自由に生きれやん人生なんか退屈で仕方ない。生きてる方が辛い。
もっと殻を破って、幸せを求めて、自由に生きたい。
「由木がもし、他の奴を好きになっても俺は簡単に手放すつもりはないよ。そっちの恋愛が世間で言う普通の恋愛やったとしても、俺は由木じゃないと嫌やから。…由木は違う?」
「…ちがっ、くない…僕も、陽くんじゃないとやだ…」
「ほなそれでええやん、周りの意見じゃなくて、俺の声だけ聞いといてよ」
「う、ん…っ、うん、わかった…ごめん、ありがとう」
由木が陽に抱き着いて、その胸で泣く
優しく背中を撫でてゆっくりと落ち着かせる
「もう、寝よか」
「ひっ、く…うっ…ぅう、…うん、ね、る」
二人並んで歩き、寝室へ足を運ぶ
ギシ…とスプリングが鳴る
布団の中に潜り込み向かい合わせになる
「…おやすみ由木」
「お、やすみ…陽くん」
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