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43動き出す予言にしおりをはさみました!
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43動き出す予言
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赤ん坊の時から当たり前にいた存在
「お前は白竜になる男だ!」
時に厳しく
「お前のやりたいようにやれ!」
時に頼りになり
一緒に泣き
一緒に笑った
「俺の親友」
「黒…」
固く閉じた瞳
金色の目を輝かせ
戦場を駆け抜けた戦士の面影はなく
幼い子供が眠っているようで
「あなたの大好きだったものです」
バクチの木札を入れると
兵士達のすすり泣きが広がる
「黒准将もまた勇猛な武人でした」
凰が花束を胸に置く
首には布が巻かれ
楊が贈った首飾りで隠される
「黒…」
真っ赤になった瞳の緑が側につくも
「さあ。そろそろ出棺だ」
白竜が引き離す
小さな棺は火葬にされる
「緑。これを」
一束の白髪
「黒の髪です。俺達にとっては命の次に大切なもの。形見分けです」
「はい。黒…黒」
涙を流す緑を抱き締める
「竜族は俺とお前だけです」
震えながら白竜は緑を抱き締める腕に力を込める
「お前だけは居なくならないで!」
燃え盛る炎と兵士達の号泣でかき消された白竜の弱音
「うん。側に居るよ白竜」
緑は白竜の背中を撫でた
「蓮と共に側に居るよ」
「謹慎…ですか」
楊に言い渡された命令
「申し訳ありません。立て続けに起きた事件に聡明な陛下はお気付きになられた様です」
「どちらかと言えば殿下では?あの方は伝説の黄帝の再来とも言われるほどに聡明です。それに上司が良いせいか武勇にも優れていらっしゃる」
「良くご存じですね。ただ武術はあの方の実力です」
白竜も笑うも
すぐに真面目な表情になる
「俺達も待機を命ぜられました。窮屈でしょうが我慢して下さい」
「あの豚の息子にしては頭が切れるな」
「はい?」
「何でもないよ」
寝台に休む蓮の呟きに緑が聞き返すも
蓮は笑顔で誤魔化す
「でも謹慎になって良かった。蓮の具合が良くなかったから」
「こらこら…」
蓮の側に付き添う緑に白竜が嗜める
「それより蓮様。お加減はいかがですか?」
すぐに食べられるようにと果物を置く
「あまりご無理はなさらいで下さい」
「はい。あなたにはご迷惑はかけません」
「…それより緑。蓮様のお体に障りますので長居はいけません」
緑を促し部屋から連れ出す
「うん。じゃあまた夕食に来るよ」
「うん。僕も少し休むね」
二人が出たあと
蓮は枕を扉に投げつけた
「白竜!また僕から緑を奪う気か!」
「白竜。僕は大丈夫です」
「何が?」
「蓮は紅とは違いま…」
「はーいはいはい!りょーおくちゃんはお兄ちゃんと遊ぼうか!」
紅の話をしようとした緑を夏呂久が抱き締める
「夏呂久殿。緑に変な遊びは教えないで下さい」
苦笑する白竜に
「何ですか?変な遊びって。具体的に教えてくださいませんか?」
「いえ…あの…その…」
顔面を赤く染め
口ごもる白竜を置いて
緑を連れ中庭に出ていった
「変な遊びは教えないで下さいねー!」
「やれやれ…過保護なお方だ」
「あの、夏呂久さん」
「ああ、土いじりでもしようか」
二人で庭の花壇の手入れをする
「緑ちゃん。あそこで紅様の話はしない方がいい。いや、もう二度と紅様の話はしない方がいい」
「やはり白竜が傷つくから?」
「はあ…分かって無いなあー!」
「?」
「君はもっと賢い子だと思っていたのに…」
「言いたいことが分かりません」
夏呂久は曖昧な笑みを浮かべる
「白竜様のお目は曇っている。目を曇らせているのは忠犬だ」
窓からこちらを見る人物
「過保護は駄目だよ天狗」
「白竜様。緑様が植えて育てた花が満開になりました」
緑の摘んできた花を花瓶に入れる
「そうですか。緑は凄いですね。あの小さな葉っぱからこんな立派な花を咲かせた」
「これを生業にしているものもおります」
「俺には出来ないことばかりだ」
目を細め
花を眺める
「蓮様のお部屋にも飾られ、お慰みになっています」
「それは何よりです」
主の笑顔に天狗も笑顔で返す
「それはそうと」
「はい?」
「帯がほどけません」
「………」
三日後
凰の呼び出しに白竜は参上した
「将軍。あなたはこれから全てを包み隠さず私に話してくださると約束してもらえますか?」
「御意。ただ私は黄帝陛下の臣下。真実を語るならば陛下もご一緒に」
「父上は…今王座に座ることも敵わない」
「な…」
絶句する白竜に
「だからこそ自宅待機のあなたを急にお呼びしました」
「偽りの王が消え、真の王が君臨する」
予言が実現に向け動き出す
続く
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