アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
5にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
5
-
おれたちは、ほぼ部活のつきあいがない日以外は登下校を共にした。
きいろの夏でも焼けない肌は真っ白で美しかったし、茶色い瞳はいつだって澄んでいる。
きいろはその容姿から男女ともに告白されていた。けれど、どれも振っているらしく、みんな嘆いていた。
いつもふたりでいる俺たちに、佐々木先輩は
「きみどりコンビ」と名付けた。
学校中に佐々木先輩に認められたと、噂された。見た目からして可愛らしいきいろではなく、俺がやばいという内容だった。それを耳にして、きいろはケラケラと笑っていた。
結局、きいろはひとりで俺の家に挨拶にきた。母親は、きいろに一目惚れし、遊びに来なさいと抱きしめた。きいろは、戸惑ったように笑っていた。
暇な日や、休日はきいろが俺の家に遊びに来た。きいろはお土産だと花や虫や石をもってくる。ある日、手を出して目をつむってと言われて、手にのっていたものがカエルでありびっくりして叫んだ。
きいろは本当に変なやつだった。
学校でも、作文を鏡文字でかいたり、お昼に木の上でご飯を食べたり不思議な行動をしていて、みんなの視線を集めていた。
そんなふざけたことをしていても、きいろは実は万能だった。勉強もできるし、運動神経もいい。変人だが、優しくて、面白いきいろはみんなの人気者だった。
きいろといると居心地がいい。毎日が明るく楽しかった。
「きみどりコンビ」は、クラスでも浸透した。きみどりコンビと呼ばれることで俺は自分の名前が好きになれた。きいろの隣にふさわしいのは自分だとそう思えたから。
1番近くにいたのは俺だ。だからこそ、時折見せるきいろの微笑みには、どこか陰があることにも気づいていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 329