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エピローグ
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“えーん……えーん……えーん……………”
小さな子供が泣いている。
蒼い目の、金色の髪をした小さな子供が……
『坊や、どうして泣いているの?』
“皆が僕を不幸だと言うよ。僕は『幸福』がなんなのかわからない……けれど、皆が皆、一人残らずそう言うからきっと僕は不幸なんだろう………だから、不幸な僕は僕の為に僕を憐れんで泣いてあげるの”
淀みのない、穢れを知らぬ無垢な瞳……。
気付けば僕は、小さな彼を抱き締め共に泣いていた………。
その子を憐れんで?いや……自分自身を憐れんで………?
この子は誰?この子は………幼き日の………。
『お……あ…お………蒼……蒼、蒼……』
ふと聞こえる、愛しい人の懐かしい優しい声……。
いつも変わらず僕を呼んでくれた、唯一無二の僕のいい人……。
『創………?』
『あぁ、蒼………久しぶりだね』
『寂しかった……逢いたかった………』
ふと気付けば、僕の腕の中で泣いていた子供はいない………。
『寂しいってことは、私と過ごした日々は蒼にとって『幸福』で満たされた日々だったとうことかい?』
少し困ったような寂し気な笑顔を向ける創に僕は抱きつく……。
『いい……もう、いいの………またこうして創に逢えた。だからもういい………僕は充分幸せだ』
『蒼……愛しい私の蒼……愛しているよ。蒼と出逢えて私も幸せだ』
そう、僕は幸せ………
愛しい人が出来たから……
かけがえのない人が出来たから……
愛しい人に愛してもらえて、かけがえのない人に等しくそう想われたから………
僕は幸せ………
僕は幸せ……………
あなたと出逢えて、不幸を知った……確かに僕は不幸だった。
あなたと出逢えたことが『幸福』だった。
あなたと出逢えた………ただそれだけで僕は僕の全ての不幸を受け入れ笑い飛ばせるくらいに、僕は『幸福』になったんだ。
その代わり………再び訪れた絶望と不幸を僕は上手く受け入れることが出来なかったけれど………。
でも、もういい………もういいんだ………。
だって、隣に創がいる。
もう離れない………ずっと、ずっと………側にいられるんだろう?
愛してる………愛してる………とこしえに、永久にずっと、あなたの隣に………。
嗚呼、なんという幸福………
僕はやっとあなたの檻に戻れるね?
愉悦なる甘美なこの檻に………
もう、自由はいらない。
ずっと、ずっと………僕はあなたの檻の中。
~悦の檻~
END
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