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ノスタルジア ②にしおりをはさみました!
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ノスタルジア ②
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途中、コンビニに寄って猫缶と水を買ってから、いつもの路地裏へ行った。
パカッと、缶を開けると、何処からとも無く友達が現れた。
隠しておいた皿に、餌と水を入れる。
あっという間に無くなっていく様子に、思わず笑が零れた。
何時もなら食べ終わった友達と、遊ぶのが日課だけど、今日は違う。
俺はドキドキしながら、ソレを、十四松の宝箱を開けた。
以前見せてもらった時と同じ様に、中にはドングリとか、野球カードとかが入っていた。
野球カードを手に取ると、その下に一枚の切符があった。
日付けも、金額も褪せて読めないけれど、きっとあの時のものだ…
中3の夏休み、俺と十四松は二人だけで、母さんの実家、ばあちゃん家に遊びに行った。
小さい頃は全員でよく行ってたけれど、中学に上がってからは、行かなくなっていた。
きっかけは、御中元のお礼の電話を十四松がとったことだ。
たまには、遊びにいらっしゃい
という、ばあちゃんの誘いに二つ返事をし、兄弟達に一緒に行こう!と、大声をあげた。
十四松の誘いに対して、他の兄弟達の返事は冷たいものだった。
田舎に行くより、友達と街で遊んでいたい。
そんな感じ。
「えー!?行こうよぉ!もう、おばあちゃんに行くって言っちゃったよぅ!」
「うるさいなぁ、そんなに行きたいなら、一人で行けばいいじゃん。
あっ、もしかして、十四松は一人で電車に乗るの怖いとか?」
おそ松兄さんの言葉に、十四松の眉毛と口角が下がった。
あ、これ…泣く。
そう思った時にはもう、俺は動いていた。
「じゃあ、十四松。僕と二人で行こう。」
ぱぁっと、音が聞こえるくらいに笑顔になって、
「本当?本当に一松、一緒に行ってくれるの?」
って、俺の手を掴んだ。
「全く、一松は十四松に甘いんだから。」
「あっ!チョロ松も行く?」
「行かないよ!」
「そっかあ!へへっ!一松と一緒!楽しみ!」
十四松は一人ニコニコしていた。
ばあちゃん家は田舎で、最寄りの駅は無人駅だった。
今みたいな、自動改札じゃなくて、ポストみたいなのに、切符を入れるタイプの。
ゴソゴソしている十四松に、声をかけた。
「何してるの?」
「切符。一松と一緒に来た記念。宝物にすんの。」
そう言って大事そうに、バックに入れていた。
「本当は、ちゃんとこれに入れないといけないんだよ。」
真面目ぶって、そう言ったけど、本当は嬉しかった。
駅を出て、方角を確認する。
ばあちゃん家から、駅まで行った事にあるけど、なにしろ久しぶりだ。
そんな俺の手を引いて、十四松が走り出した。
「えっ!ちょっと待って。十四松、ばあちゃん家わかるの?」
「うん!ちゃんと覚えてる!こっち!」
ほら!急いで!と、はしゃぐ十四松の手を強引に引いた。
「はしゃぎすぎ。転んだら危ないでしょ。」
「あーごめんね。一松。」
そう言いながらも、俺を引っ張る様に少し前を歩いた。
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