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18にしおりをはさみました!
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18
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「こことかどうかな。来たことある?」
智の足が止まったのと同時に椿の足も止まる。
くるりと智の顔が椿の方に向く。
椿はそれを感じながら店を見た。
お洒落、というか。
椿が想像していたものとは違うが、またまたすごいところに連れてこられた気がする。
智が椿を連れてきたのは蕎麦屋だった。
日本風の家屋を連想させるその佇まい。
確か、京都に行った時こんな構え方をした店が沢山あった気がする。
椿は自分には不釣り合いな程の大人な雰囲気を感じて首を振った。
来たことあるわけがない。
「そう、よかった。椿くん蕎麦は好きかな?」
「え?!ええ、好きです。大好きです。」
智の言葉に過剰に肯定をしながらかくかくと首を縦に振る椿。
そんな椿の様子にわざとらしさを感じたのか、智が眉を寄せて椿を覗き込む。
「ほんとに?」
「はい!ほんとですよ!」
「本当かなぁ。最近の若い子って蕎麦よりラーメンの方が好きそう。」
「そんなことないですよ!そば、普通に好きです!」
最近めっきり食べてなかったけど、そばが好きだというのは本当だ。
……ひとりで食べようとも起きないけど。
智は椿に疑いの視線を送りながら、しばし考え込むも「入ろうか」と扉を開けて椿を促した。
華麗なエスコートを受けながら椿は店の中に進む。
案内された席に進む。
その先はテーブルだった。
ふたりは、いい塩梅に仕切られた向かい合わせの二人席に座った。ちなみに椿は奥の方の席。
「ここ、美味しいからおすすめだよ。何食べたい?好きなの頼みなよ。」
お絞りを渡された椿が手を拭いていると、向かいの智はメニューに手を伸ばしそのまま椿の方を向け開いた。
にこりと微笑まれて、椿の心がふわりと温かくなる。
こんな笑顔の前で昼ごはん食べられるなんて美味しさも2倍だ。
ほこほことしながら、メニューを見る。
ざるそばに普通のかけそば。
ぶっかけそば。
…………ありすぎる。
いろんなものがあって選べない。
椿はどれがおすすめなのか智に聞こう顔を上げた。
「…………っ」
するとずっと椿を見ていたのだろう智とバッチリ目が合ってしまった椿。
どきっと心臓が鳴る。
同様を隠すように椿はゆるゆると思わず目線を逸らした。そして、もう1度戻すと「えと」と口を動かした。
「うん?なに?」
もともと垂れている目がさらに垂れて、椿の言葉の続きを促す。
「土井さんのおすすめってありますか……?」
「僕のおすすめ?そうだなぁ。」
おそるおそる、聞いた椿。
少し目を見開いた智は顎に手を当てるとメニューを覗き込んだ。
「基本ざるそばが美味しいね。だけど天ぷらそばとかも美味しいよ。あとね、海鮮丼も美味しいんだ。」
「へぇ……よく来るんですか?」
「うーん、よく?……かな。基本この辺の好きな店ローテーションだからさ。」
情けなさそうにこめかみを掻く智に、思わず笑みがこぼれてしまう椿。
そういう仕草がとても可愛いと思ってしまう。
きゅんと、胸が跳ねるのを感じながら微笑んだ。
「もう、何笑ってるの。決まった?」
「ふふ、はい。じゃあ、ざるそばにします。」
「他には?何もいらない?」
「はい、大丈夫です。」
椿の注文内容を聞いてから、智が手を上げて店員を呼び止める。
その呼び方がまたスマートでかっこよくて、椿は小さく簡単の声を上げていた。
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