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赦しにしおりをはさみました!
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赦し
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ミントのような爽やかさが全身を包む。
あれはやっぱり、飴みたいに舐めるのが正解みたいだった。味はあまりないけれど、どこか懐かしさを感じる。
今までまとわりついていた黒いものが浄化された感じ。スゥっと身体が軽くなって、心地いい。
身体の疲れが一気に取れて、僕の意識はようやく心に向かった。
コロコロと口の中の飴を転がすと、さっきまでなかった塩味を感じる。自分が涙を流しているって気づくのには少し時間がかかった。
なんかもう、疲れちゃった。
さっきから抑えていた物が、一気に溢れ出したらしい。悔しくて悲しくて、そして怖かった。
僕の全てに興味が無い目だった。冬夜の中でさっきの”僕”は”ウリエラ”じゃない誰かで、彼は”ウリエラ”の影が僕に見えるのを、極端に嫌っていた。
まだ僕のことを、好きでいてくれるんだろうな。
でも他に気になる人ができたら?
あんな扱いでもいいから一緒にいたいと思えるほど、僕は強くない。そっちを選択しても、きっと僕はすぐ壊れちゃうと思う。
バサバサ
突然吹いた生暖かい風が、カーテンを揺らす。窓はしっかりと閉まっていた筈なのに。
「ウリエラくん、俺と一緒に来る?」
床にスラリとした長身の影が映る。
突然上からかかった声。月の光を背に負いながら立つ人物の顔だけがちょうど見えない。
純白の戦天使の軍服に、肩からゆるく羽織った外套。先輩や同期たちがそれを身に纏っているのを幾度となく見たことがあるのに、そこには他の天使にはない、高貴さが漂っていた。
「神…様?」
僕の口は思わずそう動いていた。
影になって見えないのに、僕は彼がフッと笑ったのを感じた。
「おいで、可哀想な天使。全てを、赦してあげる」
そして伸ばされた手は、僕の全てを、救い上げてくれる気がした。今の僕に、その手を取らないなんて選択肢は残されていなくて。
「ふふ、いい子。少しの間、おやすみ」
抱きとめられて、目隠しをするように瞳を塞がれる。その全ての行動が慈悲に満ちていて、僕は微睡みの中に落ちていった。
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