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95にしおりをはさみました!
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95
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お寺に着くと、物々しい雰囲気だった。
以前行った時には、自然に囲まれた、のどかなお寺という風情だったのに、今は門をぐるっと取り囲んだ沢山の険しい顔したガードマン達。
アリの子一匹通さないという緊張感ある雰囲気に、カリフさんの話が蘇る。
ハミドの、秘密。
とある、富裕の国の第三王子にして、わずかばかり可能性のある後継者候補。
てことは、ザイールさんは第一王子で、アレフは第二王子?
「苛烈な皇位継承争いをしているのではなく、あくまでも可能性の話が、です。ザイール殿下を皇太子に立てて、決まればそれまでですが、ハミド殿下は責任感も強く、我が国では人気の高い方なので‥。アレフ殿下よりは遥かに可能性があります。」
初対面で、ハミドに会ったとき、カリフさんは近くにいたそうだ。
フラフラと俺に声を、掛けて‥
護衛が大変だったそうだ。
それから、俺の後をつけさせて、大好きなドーナツ屋があればいつでも俺が学校帰りに居て、会えると思ったと相談したりとか。
俺に振られて立ち直れなくて ‥とんでもなく憔悴したり‥
急に部屋が欲しいとダダをこねたり、
俺によって、ハミドが色んな事を、無意識のうちにやり出した。
「好ましいと、思いました。責任感だけで生きてきた彼が、やり甲斐や生き甲斐を見つけて。その一方で、一緒に歩いてきた私を、簡単に捨てるのではないか、私は、ハミド殿下に何処までしても許されるのだろうかと試してみたくてあなた方を拉致監禁しました。」そうか、きっとハミドも‥‥
ここまでヒドイ事をしても、お互いに許して欲しいという歪んだ関係。
シェザードさんは泣きながら言っていた。
「もしハミド殿下に触られた私がお気に召さないのでしたら、この口を縫い、両手を切り落とし、私の、モノを切り落としても構いません!私は、カリフ様への想いを秘めて、シオンへ逆恨みまでしていました。罰なら甘んじて受けます。」
あ‥この人の、こういう所を見てるうちにハミドも何となく、狂ってきたんじゃないかなって変な共感をしてしまった。
ゲンショー様は年に何度か霊験新たかなお山に修行に行く。
運悪く、そのお山に登っている時に、心が傷だらけのハミドはろくに睡眠も食事も取らず、毎日滝に打たれていたそうだ。
側近達は心配していたが、アレフの沢山の刺客に囲まれた時にはハミドは緑の目を壮絶に燃やして笑っていたらしい。
「わざわざ訪ねて来てくれるとはな。ちょうど良かった。身体がなまっていてな、俺に付き合って遊んでくれ。」
側近達は、下手に近づくと巻き添えになりそうで遠目から見ていたらしい。
心配無いほど、ハミドは獣並に強く、あまりの恐怖に、逃げ遅れた刺客さえわざわざ追って行って一人残らず縛り上げた。積み上げれば結構な山が出来そうな程だった。
しかし、収まらないハミドは、一旦気を失った刺客を滝に入れて意識が戻るとまた殴り、意識が落ちると滝に入れてと全員を気が治まるまで半殺しにして遊んでいたそうだ。
アレフの件で、知ってる事は、もう話したと許しを乞う相手に、まだあるのだろう?と焦点の定まらぬ目で愉快そうに拷問を楽しんでいたそうだ。
「ゲンショーさまがお戻りになった時は神聖な滝がだいぶ汚れ、ハミドに何かお祓いのお念仏を唱えると、突然ガクッと倒れ、医療の心得がある側近の指示のもと、お寺まで運んだと報告を受けています。」
焦土にしかねない、ハミドの乾き。
いつまでも穏やかでいられるように、俺が‥
もう、やることは一つだけだと心に決めた。
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