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side ハミド
俺は今、宇宙人を、見ている。
空港の、長閑な田園風景という景観をぶち壊す西洋作りの出来損ないの建物に驚いた事も、今は遠い過去の産物だ。
ヴィロトリアの女王を戴くこの女の脳内は、美姫と評判だと聞きつけた俺が、ヴィロトリアの王配になりたいというストーリーが出来上がっているらしい。
『アレフ様の件について会いたい、それは口実でございましょう。』
さっきから俺が呆気に取られているのは、見惚れているから、らしい。
その自信は、喉から?鼻から?
出せる薬があるならば出してやりたいものだ。
カリフも、この女王にどう接したらいいのか分からないようで口を噤んでいる。
因みにだが、それ程美しいとは思わない。自分はかなりいい女だと思っているけど周りの評価はなぜ低いのか分からない、そのくらいの自信があるようだ。
アレフ兄に騙されるなと説得したり、この国の財政難をどうにか諌めたいとか、今は、そんな気持ちは微塵もなく、ただただ、帰りたい。
この女の国など心底、果てし無く、どうでもいい。
そんな想いでいた。
程なくしてアレフ兄がやって来た。
俺の留守中にお前の可愛がってる男みたいな女を襲撃してやった。今頃拉致されて云々と言っていたが、ラーラ達に確認するまでもなく返り討ちだろう。
留守番電話が一件『ハミドぉ部下から連絡があったよ。皆殺しでいいのかい。生かすんなら10分以内に連絡しとくれ。』と、あったから。
問題は、今この二人をどうするか思案をしていた。
突然、爆音がなり、建物の一部にデカイ穴が空いた。
そこから、ザイール兄上がラーラ達や側近を伴っての登場だった。
『やっ、ハミド。どうだい?ちゃんと説得出来たかな。』
兄上にまだだと言うと、対話の出来ない相手にお前がどう接するのか興味が合っただけだ、と笑った。
兄上の情報網には、ここの女王の人柄までインプット済みだったらしい。
ザイール兄上はアレフに向き直ると『まだ生きていられたんだね』と冷たい声で話しかけた。
『兄上、まだあの媚薬とかいう怪しげなお薬を作っておいでなのですか?』
アレフ兄は喧嘩を売るが、ザイール兄上は話す価値もないと思っているようで、もう言葉を返さなかった。
次はヴィロトリアの女王に向き直ると、王配は祖国で探し、我が国の陛下に詫びを入れるよう要求した。
とても義務的で簡潔なものだった。
『もしや、ザイール様も私の評判を聞いて‥求婚に?』
『社交界では、似合わないフリルでやたら面積を取る人間に似たゴリラがこの国の女王だという評判は聞いたけど、言語も話せたとは驚いたよ。最も、話せるだけで理解出来るかはまた別のようだけど』とても爽やかな笑顔でお話になる。
兄上の怒りも、かなりのものなようだ。
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