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18歳以上ですか?
分るな?にしおりをはさみました!
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分るな?
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「おーい、
何時まで時間かかってんだ?」
俺が準備をするのが遅くて痺れを
切らしたのか、兄は俺の部屋に
入ってきてモタモタしている
俺の横にきた。
「……ホラ手伝ってやる、
必要な分だけにしとけよ」
「……み……ま……せ」
「それは、いらないだろ」
俺は涙と鼻水で顔中ぐしゃぐしゃで
目の前で自分が何を掴んで
鞄に詰めようとしているのかさえ
全然見えていなかった。
「スミ……セ」
しゃくり上げる声は言葉を形成する事も
出来ず、それでも必死に気持ちを
伝えたかったけどやっぱり出来なくて。
終には兄はもう邪魔だから
どいてろと、荷物を詰めさせては
くれなくて、代わりに何時の間にか
テッシュ箱を持たされていた。
滲む兄の口元から、
「辛い選択だけど、緊急避難だ。
お前はまだ小さいからもっと
親からの愛情が必要なんだろうが、
距離を置けば考える時間も作れるだろう。
その時、どうしても父親の傍に
いたいというなら俺は止めないから。
あんなのでもお前にとっては唯一
血の繋がった身内だからな。
ただし、一人では行かないと約束しろ」
「…………は…………ぃ」
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