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18歳以上ですか?
3にしおりをはさみました!
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3
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「ところで蘭、学校の時間へいき?」
こんなゆったりとしたティータイムを楽しんでいて大丈夫なの…?
「何言ってんの、今日は始業式っしょ?
10時くらいに出れば大丈夫だよ」
あ、そっか。しかもそこで解散という嬉しいオマケ付き。
「さらにね、いいお知らせ。」
「なになに?」
「たぶん、早めに帰って来られるよ、いつもより。
今日、生徒会長が来るらしいんだよね。」
あれ?つまり、
「そうそう、転校生ってのが生徒会長なんだよ。
その発表があるから、僕たちはこっそり抜け出そうよ」
みんなに見付かる前に、と蘭。
俺たち二人が一緒にいると、男たちの歓声がひどい。
可愛い、綺麗、抱きたい、エトセトラ!
全寮制の男子校、そういう閉鎖的なところではそれが普通なのか知らないけど、こちらとしては大迷惑。
俺は元々男に興味がある人間じゃないし、性別云々はとにかく、今は誰かと深く係わり合うのが正直嫌だ。
蘭は特別。彼には、たくさんお世話になった。
そのくせ、ズカズカと立ち入ってこない。
他はいらない。
もう、たくさんだから。
あんなの、もう、たくさんだから。
ーーー
ーー
ー
体育館に入ると、そこにはごちゃごちゃとたくさんの人が立っていた。
もちろん全員男なわけで、むさ苦しいことこの上ない。
「あ、姫s!」
チッ、今回は早く見付かったな…。
「雪チャン?お顔が恐くなってるよー?」
「蘭チャン?それは気のせいだよー?」
頬の筋肉をぴくぴくとさせながら、俺たちはこっそり会話した。
"姫s-ひめず-"。
誰が言いはじめたのか知らないけれど、いつも一緒にいる俺達を、みんなはそう呼ぶ。
詳しいことは知らない(というか知りたくない)けど、
親衛隊がいたり不可侵条約があったり、
なんだかんだ有名らしい。
たしかに、蘭は女子顔負けの可愛らしい容姿をしている。
目がくりくりとしていて、さらさらな黒髪。
桜色の唇は、何も塗っていないのにぷるぷるとしている。
でも俺は?
白いというよりは青白くて、
目尻がキュッと上がっている優しげとは言えない瞳、
こんな無表情で人形みたいな顔、よく綺麗だなんて言えるもんだ。
馬鹿らしくて仕方ない。
でも、
「「おはようございます、みなさん。」」
俺達はおっきな猫を被って、頭よく生きることにしたのだ。
こんな男子校で、安全に生きていくために、ね。
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