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中学の俺とあなた 影山sideにしおりをはさみました!
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中学の俺とあなた 影山side
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赤く染まった末岡さんの頬、
恥ずかしそうに差し出されたピンク色の手紙
そして……及川さんの名前……
バレー以外のことはよく分からないけど、なんか胸騒ぎがする……
これは、受け取ってはいけないような気がするんだ。
「これを及川さんに渡すのか?」
「……うん、お願い……」
「でもさ……自分で渡した方が良いと思うけど」
そう言うと末岡さんは、焦った面持ちで手を激しくふった。
「む、むむ、無理だよ! 無理無理!!
だって私緊張して恥ずかしくて、及川先輩の顔だって見れないのにどーやって渡すのよ!?
自分で渡せないから、同じ部活に入ってる影山くんに頼んでるんじゃん!
お願いだからこれ及川先輩に渡してきてよ!」
一気に捲し立てられ、手紙を胸に押し付けられる。
なんで俺は頼まれてる方の立場なのに、こんなに責められてるんだ?
「あのさ、人にこんなの頼まず、普通に読んでくださいって渡せばいーじゃねーか。
なんで緊張するんだ?
なんで顔見れないんだよ?」
「なんでって、それは……」
「それは? なんだよ?」
言い淀んでしまった末岡さんの顔を覗き込んで首を傾げると、彼女は赤い顔を慌てて逸らした。
「そ、それは……私が、その……及川先輩のことが、……す、好きだからよ!
あーもーこんなこと言わせないでよバカっ!!」
眉をつり上げ、怒鳴ってから末岡さんは、俺の手に強引に手紙を握らせて、
「き、聞いたからには、ちゃんと渡しといてよね!!」
素早く立ち去っていった。
どうしよう……強引とはいえ、手紙を受け取ってしまった。
末岡さんの気持ちを聞くまではっきりとは分からなかったけど、薄々感づいていたみたいだ俺。
嫌な予感が当たってしまった
末岡さんは、俺と同じ気持ちだったと言うことだ。
それなのに……
「俺にこの手紙を、及川さんに渡せとか……無理だろ……」
自分の気持ちを伝えられないと言うのに、他の人の気持ちが書かれたこの手紙を及川さんに渡したくない。
もし渡して、それで及川さんが末岡さんを好きになってしまったら、俺はどうすればいい?
「クソッ! どーすりゃーいーんだよ……」
末岡さんの及川さんへの気持ちは、本気なのだろう。
俺も末岡さんも本人に直接想いを伝える勇気がなくて……
気持ちは痛いほど分かる。
でも……これを及川さんに渡して、もし二人が両想いになったら……
考えれば考えるほど混乱して、頭が痛くなってきた。
俺はこれをどうすればいいのか、全然分からなかった。
放課後になり、午後練が始まる。
手紙は今、ジャージのポケットの中に眠っている。
目の前には練習を始めた及川さんの姿があった。
あーーいつもみたいに近付きたい……
嫌がられても及川さんの顔が見たい、声が聞きたい……
でも、ポケットの中には及川さん宛の手紙があって、俺の身体を縛り付けていた。
「及川さん……」
足が思ったように動かず、
彼を真っ直ぐ見つめ、ポソリと呟く。
そんな俺に気付いてほしいと、我が儘だけどそう思った……
こっち……見てください……
心中でそう願ったその時、及川さんがこちらへ振り向いた。
「!! 及川さんっ!」
気持ち……届いた?
嬉しくて自然と動く足。
笑って近づくと、及川さんはあからさまに嫌な顔をした。
でも、俺の方を見てくれたことが、ものすごく嬉しかった。
「げっ、影山! こっちくんな!」
「あの及川さん! あの、あの……」
思わず近づいちゃったけど、手紙はどうする?
無意識にポケットの中へと手を入れて、手紙に触れる。
受け取ってしまったからには、渡さないといけないのか?
「あの……及川さん……」
「なんだよ? あっち行けよ」
手紙……手紙……どうすれば……いい?
及川さんに、渡したくな……い
無意識に、本当に無意識に……
俺は、手の中にあった手紙を握り潰してしまっていた。
「あ゙っ!!」
「な、何!? 突然大きな声出さないでよ!!」
「す、スンマセン!!」
「は? ちょ、ちょっと!」
気付いた時にはもう遅い……
慌てて及川さんから離れて、体育館から飛び出した。
ポケットから手紙を取り出して見ると、手紙はグシャグシャな、無惨な姿になっていた。
これ、人から預かったものなのに……
「や……ヤベェ……」
俺は……人の気持ちを握り潰してしまった……
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