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シマジロウ温泉-2にしおりをはさみました!
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シマジロウ温泉-2
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「一時はどうなる事かと思いましたよ」
「すまん」
「でも良かったです。シマジロウも居るし。な、シマジロウ?」
椅子に掛けている漣人の足元にはピッタリと寄り添うようにシマジロウがおすわりをしている。
ちょうどキャンセルが出て離れの部屋が空いているということで、即決で泊まらせて貰う事になった。
古びた外観に一抹の不安を感じていたが、中に入ってみると綺麗に改装され、居心地の良い空間が広がっていてホッとした。
夕食は部屋食も選べたが、本館の食堂にはシマジロウが食事時に遊びに来るというので犬好きな漣人の希望で食堂に用意して貰った。
さすが近くに清流が流れているだけあって川魚メインの食事は栄養バランス満点だ。
山菜やキノコも充実していて、デザートには旬の果物も顔を揃えている。
「若い方のお口に合いますかどうか……」
料理長が心配しながら運んできた鯉の甘露煮も、おばあちゃん子の漣人は美味しい美味しいと絶賛した。
「事前予約ですと洋食でも対応できたのですが……」
「一人暮らしだとなかなか魚料理や和食に手を出さないのでありがたいです」
「律耶先輩なら魚料理も出来そうなのに」
レッスン前に手際よく作って出して貰ったモーニングの味を改めて思い起こすと、何でも簡単に作れるように思えてならない。
「いや、魚は下拵えが大変だからついつい肉に逃げてしまうんだよ」
「焼き魚は? そのまま焼くだけなのに」
「焼き魚は部屋に匂いが籠るからな」
確かにあのお洒落なマンションに魚を焼いている匂いは似つかわしくない。
漣人の家ではおばあちゃんが晩ご飯を担当する時には決まって魚だ。
トンカツやハンバーグの時だって、アジフライや鯖の煮付けが一緒に出てくる。
一人暮らしは色々大変なんだぞと溢す律耶を見て漣人は名案を思い付いた。
「律耶先輩、今度うちに晩ご飯食べに来たらいいですよ」
「え?」
「うちのおばあちゃん、自分の作ったご飯を人に食べて貰うのが大好きで、よく近所の人とかも来てますから」
「でも、迷惑じゃないか? 俺がいきなり行って」
「全っ然問題ないですよ。むしろ大歓迎です。おばあちゃん定年までスーパーの社員食堂で給食作ってたから味は保証しますよ」
トントン拍子に話がまとまって、漣人は「楽しみだなー、シマジロウ」とご機嫌でシマジロウに笑いかけた。
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