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《番外編》卒業式⑤にしおりをはさみました!
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《番外編》卒業式⑤
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***
教室でのみんなの別れも済んだのだろうか、たくさんの生徒が門へ向かって歩いてきた。
その人の群れの中に麗音と広翼くんの姿を探すが、珍しく広翼くん一人でこちらに向かって歩いてきた。
「広翼、麗音くんは?」
「女の子に捕まっちゃった…」
「あらまぁ…」
紅夜学園中等部は男子中。女子は必然的に姉妹校である四葉学園に進学することになるため、女子に絶大な人気を誇っていた麗音はその女の子たちに捕まってしまったんだろう。
ぷくーっと頬を膨らませてふて腐れる広翼くんとそれを宥める香さんを置いて、俺は6年1組の教室に向かった。
「やだ〜〜!麗音くんと離れたくない〜〜!!」
「なんで男子中になるのー?おかしくない?私たちだって紅夜学園でいいー!!」
「麗音くん写真撮って〜!」
教室の真ん中で麗音はたくさんの女子に囲まれていて、最後でもありいつもみたいに断るのも気がひけるのか、写真を撮ったり寄せ書きにメッセージを書いたりと頑張っているようだ。
「麗音くん、ちょっとお話したいことがあるんですけど…」
「あ…、えっと、ごめん。後でいいかな?」
「うん!…あのっ、下駄箱で待ってます!」
あぁ、今のは告白の類だな。
他の女の子達も気づいたようで、麗音を行かせまいと理由をこじつけて引き止めている。
麗音の視線がふとこちらに移り、俺を見つけた麗音は懇願するように俺を見つめた。
仕方ないなぁ、ともっともらしい理由を考えて麗音を呼ぶ。
「れーくん、お食事行くからそろそろ帰ろう?」
「あ!わかった!………ごめんね、もう帰らなくちゃ」
女の子達は「えーーー!?」っと残念そうに声をあげ、しかし親に呼ばれたのを引き止めることもできずに寂しそうな顔で麗音に手を振った。
「お母さん、ありがと。助かった」
「ほんとモテモテだね」
「そんなことないよ。最後だから写真撮っときたかっただけでしょ」
ふぅ…、と息を吐いて「ちょっと行ってくる」と、下駄箱の方へ向かった。
まぁすぐ終わらせて帰ってくるだろうと、俺は広翼くんと香さんの待つ方へ向かった。
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