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逃亡にしおりをはさみました!
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逃亡
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ユキトは南倉の事務所のソファに座っていた。
主は居らず依頼人だけ。その依頼人は顔を引き締め、緊張でか少々青ざめている。隣の平和な表情をした『お猫さま』とは雲泥の差だった。
ガチリと鍵の回される音と同時に、少年は俯きがちだった頭を上げる。
「ただいまユキトくん」
南倉にしては珍しく性急な所作でドアを閉め、しかしユキトを見ると表情を和らげた。「お帰りなさい」と既に立ち上がっていた中学生は返す。
「あ、あの…どうだったんですか?」
「うん、やっぱりだった」
南倉のその肯定は全てを語っていた。ユキトは言葉を失う。
実は少年も今朝、偶然そのニュースを観ていた。海岸沿いで成人男性の水死体が上がったという、痛ましい報。
しかし、まさか。その遺体が―――
「狐目の男だったよ」
ユキトにとって、重要な『鍵』となる男だったとは。
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