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23にしおりをはさみました!
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電車はまだ揺れている。
僕らの最寄りから三駅くらい揺られたかな?
「次で降りるよ」
和希の言葉を聞いて、降りる準備。
気持ち悪さは知らぬ間に治まっていた。
良かった。今日一日を電車酔いで無駄にする所だった。
電車は止まり、僕らは降りる。
ここで降りる人は結構多く、意外と栄えてるらしい。
ここの駅の名前は知ってるけど、降りたことはない。
「ちょっと歩くからな」
僕は人混みが苦手なので、和希の後ろにピッタリくっつき、和希の服の裾を掴んだ。
駅を出れば人はそこそこ減るので、手を離して隣を歩く。
「最近発作出てない?」
歩きながら和希が心配してくれた。
発作は、僕が小4の頃に初めて起きた。
外で体育をしている時、急に視界が真っ白になってその場に倒れてしまった。その日は保健室に運んでもらって早退した。
初めは熱中症かなと思い、特別検査とか何もしなかった。けど、再び、目の前が真っ白になる現象が起きた。更には心臓の脈が速くなり、息が苦しくなる。そんな熱中症では有り得ない症状も出てきたので、僕は母と共に病院へ足を運んだ。
MRIやCT検査などをし、告げられた病名は〝起立性低血圧〟だった。
低血圧のせいで、立ったり、お風呂から上がったりする時や、激しい運動をした時に頭に血液や酸素が行かなくなって目眩や頭痛、脈拍が速くなるという症状を起こす病気の様なもの。
治癒方法はないと言われ、成長するうちに治るから大丈夫だと医師に言われた。
確かに、去年までは三ヶ月に一回などと少なくなっていたのに、この一年、また頻繁に起こるようになっていた。
「うーん、最近はちょっと酷いかな」
「そっか、まだ治ってないもんな」
僕も早くこんな病気治ってほしい。
いつか死ぬんじゃないかって怖くなる。
「志村はその事知ってるの?」
「大貴にはちょうど昨日言ったばっかだよ。なかなか言うタイミングがなくて遅くなっちゃったけど」
大貴には昨日の夜に伝えた。
僕の話をしっかり聞いてくれて、病名まで調べてくれて。
大貴は何回も「何も出来なくてごめん」って言ってくれた。
こんな病気の僕でも一緒に居てくれる?って聞いたら「当たり前」って言ってくれてすごく嬉しかった。
「ちゃんと受け入れてくれた?」
「うん。これからも傍に居てくれるって」
「そりゃ良かったな」
和希は自分の事のように喜んでくれた。
「あ、ほらほら着いたよ。ここだ」
和希が指差したのは、高い高層ビルだった。
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