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35にしおりをはさみました!
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35
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あの後、鳴上の運転で皇家の屋敷まで帰ってきた俺たち。車の中で俺はずっと賢斗を睨みつけ、賢斗はそれを楽しそうに受け入れていた。
到着してすぐに賢斗の部屋に連れていかれそうになったけど、なんだか気恥ずかしかった俺はそれを無視して鳴上と一緒に自室へと戻ってきた。
部屋に着くなり眼鏡を外してベッドに倒れこんだ俺に、鳴上は声をかけてくる。
「修弥様、シワができてしまいますのでジャケットはお脱ぎください」
「......」
正直面倒くさかったけど、俺は言われた通りに上体を起こし、ジャケットを脱いで鳴上に渡す。それを受け取ってポールハンガーの方へ行く鳴上を、俺はジト目で見つめた。
「......鳴上は全部知ってたのか?」
「はい。凌真様から聞いていましたので」
「......ううーー!」
鳴上の返答を聞いて、俺は枕に顔を埋めて唸る。自分だけ事実を知らなかった恥ずかしさと、両想いになれた喜びとが混ざり合って、叫ばずにはいられなかった。
しばらく顔を埋めていると、ふと重要なことを思い出す。それは一ノ瀬の家のことだ。
「なあ......父さんと母さんに言うのか?」
もし鳴上が両親に告げ口をしたらどうなるのだろう。一人息子が男と付き合うなんて、許してくれるとは思えない。
......絶縁されたらどうしよう。
そんなことを考えて青ざめる俺だったけど、鳴上はそんな俺の心配をよそに平然と答える。
「お伝え致しません」
その答えが意外で俺は鳴上に新たに問いかけた。
「え、なんで?お前って、お目付役だろ?」
「私はあくまで修弥様の執事です。主人の不利になることは致しません」
.......そういうものなのか?
きっぱりと言い放った鳴上に、俺は目を瞬かせる。
確かに鳴上は俺の専属執事だけど、給料とかは父さんからもらっているはずだ。そういう点から言えば、本当の主人は父さんになると思うけど......鳴上が嘘をつくとも思えない。
「まあ、それならいいけど......」
少し納得できないところもあるけど、黙ってもらうに越したことはないし、俺はとりあえず鳴上を信用することにした。
「今夜からまた賢斗様にお茶を持っていかれますよね?すぐに道具の準備をして参りますので、それまでお休みになってください」
もうこの話はしたくないのか、鳴上はいつもの無表情な顔で話を変えて、部屋を出て行く。
単純な俺は、さっきまでの心配は何処へやら、鳴上の思惑通り、まんまと賢斗のことで頭がいっぱいになってしまうのだった。
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