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18歳以上ですか?
陸にしおりをはさみました!
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陸
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俺は今、情けない気持ちで鳩尾あたりが痛い。
今まさに自分の謎な行動の数々に対し反省中だ。
俺が家に誘ったくせに
拒否されるのが怖くて冗談だと嘘をついた。
柳はそれに気付いたのか誘いにのってくれた。
というか、俺に気を使ったのだろう。
余裕のある柳の対応には驚く。
それから気を取り直し食材を買い込み
先程、俺の家に着いた。
柳は脱いだ靴もキチンとそろえ
お邪魔します、と丁寧に頭を下げて家に上がった。
コイツは本当に現代っこか?と思う。
うちの学校の奴らはきっと柳のようにはいかない。
まあ、時代というよりも育ちの問題なんだろうと思った。
そして、俺が反省していると
柳の俺を呼ぶ声が聞こえた。
「先生、ご飯出来ました?あれ、胃痛ですか?」
無意識のうちに鳩尾を押さえていたらしい。
「いや、大丈夫だ。」
フフッと笑い、今持って行きますと柳が言った。
「今日はオムライスを作る予定だったので
オムライスにしたんですけど…よかったですか?」
柳は美味しそうなオムライスを両手に持ち
少し心配そうに俺に聞いた。
「全然いいよ。てか、うまそうだな。」
そう言うと、柳は良かった、と笑った。
コイツはよく笑うなと思った。
いつも髪の毛のせいで鼻から下しか
はっきりとは見えないが。
柳の作ったオムライスは予想以上に美味かった。
サラダとポトフまで付いてきた。凄いの一言だ。
そして美味しいオムライスを食べながら
二人で他愛のない会話をして分かったこと。
柳は中学までは親戚の家でお世話になっていて
高校進学のタイミングで一人暮らしを始めたらしい。
料理やらの家事は親戚の家でやるうちに
得意といえるほどにまで修得したらしい。
そして、洗濯が1番好きだと言った。
地味な見た目に反し、明るくよく喋る。
そういえば…今日額の傷は見たが
そこに気がいってしまい
顔はちゃんと見ていなかった。
目の前でニコニコしているその顔がふいに見たくなった。
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