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〜琉side〜
11月8日 19時
「恋、明日、久しぶりに休みが取れたんだけど、恋仕事は?」
「すいません、明日は1日シフトが入ってて…」
「そっか…夜遅いの?」
「…はい、多分。」
「シフトは何時まで?」
「19時です。でもそのあと仕事があるので…」
「そっか…わかった。無理すんなよ。」
「はい。」
久しぶりに恋と夕食を取れるという日。
2人とも入浴を済ませ、料理をしている恋と話をする。
…のだが。どうも最近、恋の様子がおかしい。
なんとなく、琉といることを避けているような、そんな感じがするのだ。
同窓会の一件以来、セックスは全くしていないが、ここ1週間、キスも、抱きしめることも、頭を撫でることすらしていない。
そうするタイミングが全くないのだ。
いつもなら、夜遅くても寝るのを待っていてくれる恋は、仕事で朝が早いからと寝てしまったりして、寝る時間もかぶらない。
最近はドラマ撮影前に練習に付き合わされている琉は、早朝に家を出ることも増えてしまい、さらにすれ違うばかりだった。
「れーん。」
「なんですか?」
たまにはスキンシップを取ろうと思い、名前を呼びながら近づく。
そして後ろから腕を回そうとしたその時だ。
「あ、そうだ。今日俺、夕食いらないので…これ、食べてください。」
「え…どうした?具合悪い?」
「少し…頭が痛いので。」
「大丈夫か?熱は?」
額に当てようとした手は、恋の手に遮られる。
「大丈夫です。寝れば治ると思いますから…今日は先に寝ます。」
「あ、うん…わかった。ゆっくり休めよ。」
いつもなら、ここで頭を撫でたりするのだが、今日の恋はスタスタとリビングを出て行ってしまった。
残された琉はぽかん、としたままキッチンに立っている。
明らかに、自分が避けられている。
今ので確信した。
だとしたらなぜだろう、という疑問が、琉の頭の中をぐるぐる回る。
なぜ、自分が避けられているのかよくわからない。
恋に何かしてしまったか、と考えるが、思いあたることもない。
結局、よくわからないまま、味気のない夕食をとり、寝室に入る。
「え…」
いつもならありえないのだが、恋がウサギを抱きしめて、琉の場所を空けて、そちらとは反対の方を向いて寝ている。
これは完全に、恋に避けられている。
ますますそのことを確信した琉は、訳が分からなくなってきた。
一体なぜ、避けられているのか。
また、怖くなってしまったのかとも思うが、会話は普通だし、震えているような様子もなかった。
その晩、モヤモヤとしたまま、恋と反対の向きを向いて、琉はベットに入り、眠りについた。
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