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葛西は恍惚とした表情を浮かべていた。
「僕はずっと、折原君のことだけを見てたよ」
愛おしげに俺の頬を撫でる指先。触れられたところがざわめいて、心臓が落ち着かない。体温はどんどん上昇していく。
「内気な僕に一番最初に話しかけてくれたのも折原君だし、風紀委員と一緒に活動することが多いからって、僕をクラス委員に推薦してくれたのも折原君なんだよ?」
確かに、葛西をクラス委員に推薦したのは俺だった。風紀委員として、内気なだけでクラスに馴染めずにいた葛西を見過ごすことができなかったのだ。クラス委員になれば、日常の連絡や行事の際に、クラスメイトと話す機会がおのずと増えるだろうと考えてのことだった。
「折原君はいつもキラキラしてて、かっこよくて、みんなから一目置かれてるのに、こんな僕にだって優しくて……」
言いながら、葛西は俺に馬乗りになる。胸元のネクタイに手をかけ、衣擦れの音とともに抜いていく。それを床に放り投げたあと、続けて迷いなくワイシャツのボタンを外していく。
「最初は折原君と話せるだけでよかった。嬉しかった。すっごくすっごく嬉しかった」
「かさ、い……!」
プツ、プツ、と音が鳴る。声で制するも、葛西の手は止まらない。
「でも、だんだん欲が出てきて、ずっと傍にいたいって思った」
ワイシャツが開かれ、胸元や腹部が露になる。葛西は、立ち上がった紅梅や震える腹筋に舌を這わせた。肌色の上に赤が踊るたび、身体がびくびくと跳ね、過剰に反応してしまう。
「ふっ……ぁ、あ」
「そう思ったときにはもう、折原君の傍には西永や佐保がいた。僕がどんなに望んだか知らない場所に、二人は平然と、当たり前のように居座っていた」
葛西の手がベルトにかかる。俺の抵抗にすらならない抵抗は気にも留めていないようだった。バックルやボタンが外され、チャックを下される。
「はは、折原君のここ、もうびちょびちょ」
「やぁ、あ、ん!」
目元を赤らめた葛西が、嬉々として口端を歪める。薄布越しに柔く触られただけで、自分が発しているとは到底思えないような嬌声が喉から飛び出る。まさぐる手や濡れた下着の感触が、ただただ気持ち悪い。
気持ち悪い、はずなのに……!
葛西は俺の下着から、俺自身を引きずりだした。存在を誇張するように頭をもたげ、赤く膨れ上がったそれは、すでに限界に近かった。鈴口からは我先にと言わんばかりに透明な液体が溢れ出している。
「っ、ん!」
そしてあろうことか、葛西ははち切れそうなそれを握りしめてみせた。痛みで背中が跳ねる。薬のせいか一向に萎える気配はない。とにかく吐き出したいという思いばかりが募っていく。
葛西は根元を締め付けながら俺の股間に顔を近づける。そうして、それの近くで「だからね」と再び口を切った。
「僕は西永や佐保が心底憎らしかった。羨ましくて、妬ましかった。悔しかった。僕が指を加えたままの現状はいつまで経っても変わらないのに、二人は確実に折原君との距離を縮めていった」
「ひあ……っ!」
葛西の舌がそれに這わされた。舌先で溢れ出る液体を掬い、それを塗りたくるようにして移動させていく。
「っは、ん、あ……」
ゆっくりと、焦らすように舐めあげられる。腰がとろけるような感覚に襲われ、視界がぼやけていく。
葛西の独白はまだまだ続くようだったが、今の俺にはそれを咀嚼するだけの理性など残っていなかった。
「折原君がノンケだってことは知ってたから、もう、どんな手を使ってでも、あの二人より早く僕のものにしなくちゃって思ったんだ」
「ん……、や、ん」
「折原君が保健室に行くって言ったのを聞いたとき、チャンスだって思った。人が少なくなる放課後まで待って、折原君の鞄を持ってきたって大義名分で話しかけようとした」
「っひ……あ……!」
「なのに……なのに、ドア越しに折原君の喘ぎ声が聞こえてきたから……ッ!!」
「うぁ、っ!!」
一段と強く握られ、あまりの痛みに顔を顰める。ギリギリと食い込む指の感触が俺を追いつめる。
「また僕は西永や佐保に越されたんだって!! 折原君は僕よりも先にあいつらを受け入れたんだって!! そう思ったら頭が真っ白になって、気づいたら寮にいて、」
「ぁ……」
ギリギリ。ギリギリ。
「教室で寝てる折原君を見つけたときはどうしてやろうかって思ったよ」
「っ、ひ」
ギリギリ。ギリギリ。
「僕が悪いんじゃない。ぜんぶぜんぶ、折原君がいけないんだ。僕のものになってくれない折原君が、ぜんぶ、」
「も、やぁ……」
イキたいのにイケない焦燥感にせきたてられ、とっくに心も身体も限界を越えていた。情けなくもボロボロと零れていく涙が葛西の形相を余計に歪めていく。
「折原君は、誰にも離さない」
呪詛のような言葉を吹き込まれ、呼吸すら奪い尽くすように口を塞がれた。
今まで逃げてきたツケが回ってきたのだと思った。
どう足掻いても、逃げられないのだと。
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