アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
次の一歩へにしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
次の一歩へ
-
(レン目線、続きます)
「遅かったねー」
部室に戻ると、椅子に座って勉強していたらしいハルが俺を出迎えてくれた。
ハルの他には誰もいない。
それにいつもなら暇つぶしに顔を出しに来ているケントも、今日はもう居なくなっていた。
俺が居ない間、どんな話をしていたのだろう。
少し首を傾けてグラウンドを見ると、外周から戻ってきたサッカー部がパス練習を始めていた。
ケントも、そこに混じっている。
結構教室で時間食ってたんだな、と実感した。
「ごめん俺が持ってた」
そう言って、俺は手に握っていたハルのシャーペンを手渡す。
酷く怒られるだろうと覚悟をしていたけれど、彼は俺の予想とは反対の態度を見せた。
彼はシャーペンを手に取るなり、芯をカチカチを出したり入れたりしている。
どうやら、見つかって本当に嬉しいようだ。
が、1つ難点が。
「あのさ、中見てないよね?」
ハルは顔を赤らめて聞いてくる。
でも、その反応が俺の心をくすぐった。
かなり可愛い。
「見てない、見てない」
俺は目を逸らす。
が、俺をじっと見つめていたハルにはバレたよう。
「その顔、絶対嘘!ほんとは見たでしょ!」
ハルは顔を真っ赤にしながら俺の肩を揺すってくる。
「ごめん、誘惑に負けて…ちょっとだけ見た」
手を上げて降参のポーズを取る。
「もうバカ!見られたら願い事叶わなくなるの!ほら、早く忘れて!!」
いや、無理だろ。
ペチペチと俺の頭を優しく叩いてきた。
純粋で、俺に無償の愛をくれるハル。
こいつがいなかったら、もっとずっとつまらない人生だったんだろうな…と思う。
何はともあれ、ハルが元気になって良かった。
小さな紙の中に書かれてあった言葉を思い出して、俺はにやけた。
それは、俺にとっても叶って欲しい願い事だったから。
『ずっとレンといれますように』
何書いてんだか。
「ね、レン聞いてる?」
気がつくと、ハルは俺の目をまじまじと覗いていた。
聞いてないことがバレて居たらしい。
「ごめん、何の話ししてたっけ」
正直に謝ると、彼は姿勢を正して座り直した。
顔が普段より真剣さを増す。
「僕、色々考えたんだけどさ」
一呼吸溜めるハル。
そして彼は決心したように目を据えて、次の言葉に続けた。
「モデルの仕事、受けることにした」
“これはレンにとって悪くない話だから。”
そう言っているように感じた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 46