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side 月島蛍
最初に思ったのはどシャットする技術もあるじゃないかと言う嫉妬
その後は怪我の悪化への焦り
もう何分も木兎さんと綾斗さんのブロック練習が続いている
「黒尾さん。もう止めないと綾斗さんの足が」
見れば黒尾さんは黙って綾斗さんを見つめながら下唇をかみしていた
しばらくして綾斗酸を見たまま話し始める
「ツッキー、体育館に入ってきた時の綾斗の顔みたか?」
僕は見ていない
「今はそんな事どうでもいいでしょ。早く綾斗さんを止めないと!」
焦っているのは僕だけなのか
黒尾さんはぽつぽつと言葉を落とす
「俺はあの瞬間、綾斗が怖くなった。あいつは俺が何をしても大抵の事は笑うか呆れるかして許してたから。今回だって、俺が煽ったって呆れるだけだとおもっていた」
今はそんなこと言ってる場合じゃないのに黒尾さんは話を続ける
「煽られたってやりませんよ俺。とか言って。そしたら膝の事聞きやすくなるだろ?けど違った」
「そうですね。あんな怖い綾斗さんみたの初めてです僕。ケド今はそんなこと言ってる場合じゃないんじゃないですか」
「かもな。煽ったのは俺だ。でも綾斗が体育館に入った来た時、目で言われたよ。『何があっても止めるな』って。だから俺には止められない」
ぎちぎちと小さな音がして、みれば黒尾さんの拳は白く変色していた
やるせないのは僕だけじゃない
「僕だって、さっき目で殺されましたよ」
無力な自分が悔しくて両手を握り締める
あぁこういう時、他の連中だったらどうするんだろう
日向だったら?そんなのお構いなしに止めるのだろうか
影山だったら?山口だったら?西谷さん、田中さん、縁下さんだったら?
みんなどうやって綾斗さんをとめるのだろうか
僕にはわからない
明るく楽しくほどほどに
昔の綾斗さんがどうであれ、綾斗さんはどこかでそう思っているんだと僕は思っていた
『俺は確かにもう世界の舞台には行けないかもしれない。けどさ、やってみないとわかんないじゃん』
今わかった
綾斗さんのあの言葉は、僕を鼓舞するためでも何でもなく本心
なら今ここで怪我を悪化させてる場合じゃないじゃないか
僕は一歩前にでた
柄じゃない事くらいわかってる
「綾斗さん!もう止めて下さい!」
「黙れ!蛍!」
いつもと違う綾斗さんに足がすくむケド、引くわけにはいかない
「いやです。綾斗さん、もう止めて下さい!世界にもう1度挑戦するってあれは嘘だったんですか?」
「あ?ここで木兎さんと渡り合えないで、何が世界だっ!!」
こちらを睨みつけている綾斗さんの目は今まで見たことがない
僕の本能はいう
ここで下がっておいた方がいいと
ケド、それじゃ駄目なんだ
今ここで綾斗さんを止められるのは僕だけだ
「僕たち知ってるんです。綾斗さんの膝の怪我が酷くなってる事」
「へぁ?」
綾斗さんの顔から力が抜けたように見える
「だからもう止めて下さい。お願いします」
僕は頭を下げた
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