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知らなくてもいいことにしおりをはさみました!
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知らなくてもいいこと
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【夏生】
「行ってきます!」
「うん、行ってらっしゃい」
美容院の予約は随分前からしていた
キャンセルも考えたけれど、染めた部分が明らか目立つのと、くせ毛でもないくせに伸びた襟足がはねてまとまりが悪かった
「陽人もそろそろ行かないと…」
陽人の髪は黒くて太い
たまに染めて柔らかい印象にはするが、最近はめんどくさいと言って黒いままだった
「でも陽人は黒髪似合ってるよ」
俺と違って男らしい髪質
たまに肌に刺さる感じが快感に繋がる時もある…
あ、出かけるのになに考えてんだろ
頭を振ると、少しだけクラっとした感じになってふらついた
「ちょ、何やってんの夏生、ほら、ちゃんとして」
予約時間が迫っていたのにも気付かずに、妄想モードに入ってしまったことにちょっとだけ後悔したけれど、そのおかげで雰囲気が和んだから良かった思う
「それじゃあ行ってくる」
陽人の頬に軽くキスをしてドアを閉めた
途中、自分のしたことに赤面してしまったのは内緒にしとこう
そう、きっと上手くいくよ
また、以前の俺たちに戻れる…
空を見上げると、予報が嘘のように澄み切っていたのは……きっと俺の気持ちと連動しているのかもしれないなんて思ったりして…
そう言えば、あれから冬弥はどうしたんだろ
なんとなく気になった
千秋とは上手くいってんのかな…
俺にあんな事を言ったけれど、あれは冬弥の情緒不安定からだとわかったから
「ラインしてみるか…」
自然と手が動いていた
特に意味はない
ただ、心配だったから………
まさかこの行動が、あんな事に繋がってしまうなんて思わなかった
『冬弥、調子はどう?今なにしてんの?』
どうせ返ってこないだろうと思っていた
『ジャケット選考、めんどくさい』
『あ、じゃあ終わったら飯でも食わない?』
『いいけど、お前今なにしてんの?』
『美容院だよ、昼には終わる』
『了解、じゃ終わったらまた連絡するわ』
普通に食べて喋るだけ………
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