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今日は穏やかな日曜日
僕は久しぶりに楓と一緒に学園の音楽堂に来ていた
「二人でいるのは久しぶりだね」
「うん」
「ライブ中、寂しかった?」
「うん」
「ごめんね」
「楓の仕事だから我慢出来る」
「ありがとう」
二人でピアノの前に座り、鍵盤を弾いていた
「繭は何でも出来るんだね」
「ギターは弾けない」
「でもピアノは上手」
楓の手の平が僕の手を包み込んだ
僕はそのままピアノを弾き続けた
「もう少ししたら出掛ける」
「一緒に行こうか?」
「退屈だけどそれでもいいなら」
「繭と一緒なら退屈はしないかな」
「僕も」
そしてピアノを閉じ、音楽堂を出た
校門に着くと、車が迎えに来ていた
「車で?」
「うん」
「わかった」
向かうのは病院
もう僕の物になっていた
それを伝える為と、冬矢を捜す為
病院に着き、院長に話を伝えるとすっかり狼狽していた
前もって調べがついていた臓器売買の証拠を突き付けた
観念した院長は逃げるように出て行った
もちろん、逃がすわけはない
外には警察が待ち構えていたしね
「繭、想像以上にハードな展開だね」
「気のせい」
「そう・・・わかった、気のせいね」
次にやる事は、冬矢の居場所を捜す事
「ねぇ、繭」
「何?」
「この角部屋、怪しくない?」
「角部屋?」
「部屋はあるのに使われていないみたいだけど」
「行ってみる」
「だね」
急いで角部屋に向かうと、想った通り警備が厳重だった
「まずは警備会社に連絡する」
「うん」
僕は警備会社に連絡をして、全員解雇処分を下した
暫く待っていると、警備員がいなくなった
「行こう」
「うん」
大部屋みたいな個室
扉を開けると、機械に無理矢理生かされている冬矢がいた
「本当に生きていたんだ」
「でも、これは生きていると言えるのかな」
「うん」
機械のチューブに繋がれた冬矢
目を閉じたまま機械音だけが鳴り響いていた
「包帯だらけだね」
「傷なんて治るのかも疑問」
「そうだね」
そして、翔が来るのを待った
しばらく待っていると
大きな百合の花束を抱えた翔がやって来た
「繭のお陰ですぐにたどり着けた」
「うん」
「脳死か」
「臓器を売る?」
「和海と同じ事をするのは愚かだろ?」
「冗談なのに」
翔は、暫く冬矢の顔を見つめ百合の花束をそっと置いた
「お前も和海にされた事で最後は苦しんだんだろ?」
そう言って、コンセントを抜いた
アラーム音が鳴り響く部屋
誰も来ない事も知っていた
カメラは前もって全て切っていた
苦しそうでは無い
ただ、体は酸素を求めて動いていた
そしてアラーム音が変わった
心電図も一本の平坦な線になった
「バイバイ」
今度こそ冬矢は死んだ
「最後は願いを叶えてやったからな」
翔の声が少し掠れていた
悲しいとかではない
今の気持ちはきっと悔しいはず
残酷になれない翔
「死体は?」
「僕が始末する、彩流寺家のお墓に納骨するようにしておく」
「いいのか?」
「彩流寺家でも冬矢の方だから」
「そっか」
僕は本家だからそこに冬矢は入れない
まぁ、墓に入れるだけありがたいと思って欲しい
そして僕達は病院を去った
二度と行く事など無い病院
ん?
二度と・・・・?
もしかして、冬矢の為だけに僕は何十億と言うお金でいらない病院を買わされた?
「翔らしい」
「何か言った?」
「ううん、何も言ってない」
「そっか」
でも仕方が無い
今までだってこうやって生きて来たんだから
翔と生きるのは楽しい
だからこれからもずっと一緒に生きて行きたい
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