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「ユーリも同じ様な反応だったな…。これ、なんか意味あるの?」
そういやユーリも"いい加減気付いてもいいんじゃない?"とか言ってたし…。
鼻声が何ともみっともないが、俺はブラッドをソファーにゆっくり座らせながら答えを待った。
「……。魔女は生まれてすぐ母親からその種族の石が付いた装飾品を与えられる。それは大抵、自分の子へ受け継がせるが、男の魔女は女と違って婚姻の形を取ることが出来ない。その代わり、一生添い遂げたい相手が出来たらその装飾品をそいつに渡すんだ。そしたら生涯、そいつとは縁が切れないって言われてる」
「へぇー、じゃあ婚約指輪みたいな…………え?」
「何がお守りだ、縁起でもねぇ!分かったんならさっさと外せ!それは受け取った本人にしか外せねぇんだよ!」
不満を漏らすブラッドは相変わらず顔色が真っ青だったけど、それとは対照的に俺の顔には熱が集まりだしていた。
ブラッドの説明通りだとこのピアスだけじゃなく、あのペンダントも……?
「なんで……俺にペンダントを…?」
「っ!それは……」
「記憶を奪っといてペンダントを渡すなんて変だろ…?あんたは…本当に忘れて欲しかったのか?」
「…………死ぬと思ったんだよ。」
死ぬ…?
唐突な答えに一瞬頭が付いていかなかったが、父さんに連れて行かれた最後の禍の跡地を思い出し、彼の言っている事を理解した。
あの現状を見て俺達はブラッドが生きていないと判断した。
いや、生き延びるなんて不可能だ。
そう思わせるほどの惨状を脳裏に浮かべた俺の頭はブラッドの怪我をそれに結び付かせる。
祓い後があれなら絶対安静になる位の怪我を負っても不思議じゃない。
「その怪我……もしかして禍の?」
「…………」
「あんた……死ぬ覚悟で祓いをしたのか…?なんでそこまで…」
「……当時の長だった母親が、"禍は必ずまた起きる。その時は村へ行きなさい。そしてこの村は救う価値があるのかどうか、自分の目で確かめなさい"…と、俺に言い残して死んだ。だからずっと村の連中を見定めてたんだよ」
母親の遺言を口にする彼は凄く寂しそうな目で窓の外を見ていた。
その時彼が何を感じたのか俺には想像すらつかない。
でも彼の力になりたい。ブラッドにこんな顔はさせたくない…!
そんな思いを込めて彼の横顔を見つめていると急に彼の目がこちらを向いた。
「え、なに…?」
俺の問いに無言で落とした彼の視線の先を辿れば彼の右手がある。
それに俺の手が絡みついてかギューッと握っていた。
「あっ!ごめん…!その…無意識……」
「っ……ククククッ」
喉を鳴らして可笑しそうに笑った後、彼は俺の肩に頭を預けてきた。
それが妙に恥ずかしくて擽ったい。
「俺をに会いに来たのがお前じゃなかったら……俺はあの村を見放すつもりだった」
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