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レインの家の使用人に連れてこられたのは、広い空間だった。
まるで城だな……それにここは……。
ここは特別な場所なんだと気づいた。なぜなら、俺の目の前、何十の階段の上に王座があったからだった。
そんな所に、俺はどうして連れてこられたのか。そんな理由は一つしか心当たりがない。
俺がレインと会っていることがバレた。
それしか考えられなかった。大体、俺は太陽の貴族の規則なんぞ何も知らない。でも、太陽の貴族のトップは極度の一般人嫌いだと噂で知っていた。なぜ、同じ人間なのにそんなことを言われなきゃいけないのか、理由は分からないが。
すると、キィと大きな扉が開く。その瞬間、俺は跪く。そして、思わずゴクリと喉がなった。
入ってきたのは多分、いや絶対にそうだろう。
太陽の貴族のトップ……。
なんだか息苦しい。そんな威圧を受けた。
そして、その人物の後ろに続いて入ってきたのは、俺とさっき別れたレインだった。
レイン……!
心がふわりと暖かくなった。でも、それは一瞬だった。
あ、れ……レイン……?
レインの表情は無表情だった。まるで、最初の時のように。
ツキンと胸が痛む。
どうしてだ……?なんで急に……。
そうやって疑問に思っていると、太陽の貴族のトップだろう男が口を開いた。
「貴様、いや……そこの肉の塊は、太陽の貴族のレインと会い、話をしたそうだな。」
肉の……塊……!?
俺は驚愕していた。そこまで、俺たちのことを見下していたのか、と。
「はい……。」
嘘を言っても何もならないと分かっているので、素直に返事をする。
「っ、なんという屈辱か!レイン!本当にあんな肉の塊でしかないものを想い人だと言ったのか?ありえないぞ。」
想い人……?もしそれが本当だとしたら、俺はものすごく嬉しい。
思わずにやけてしまう。同時にレインの顔が見たくなって、チラリとレインの表情を伺う。その時、俺の背筋は凍りついた。
な、んで……そんな目……っ
ズキズキと胸が痛む。
今までにない感情のこもっていない目をしていた。そう、いつか見た夢のような、酷く色あせた目。
これが、レインだと言うのか……っ
するとバチッと不意に目が合う。俺はたまったもんじゃないと顔を伏せる。嫌な汗が吹き出る。
「申し訳ありませんでした、叔父様。今すぐにあの肉の塊と縁を切りますので、もう少しのお待ちを。」
すると、階段を降りてくる音がする。顔を上げると、そこにはあの色あせた目をしたレインが立っていた。
「レイン……どうしたんだよ……なぁ……」
俺は今目の前にいるレインを信じられなくて、レインの手を掴もうとする。
だが。
パシンッと大きな音が響いた。
「私に触るな下郎が。汚らわしい。お前には私と縁を切ってもらう。少々まだ遊び足りないが……あの通り、叔父様がお怒りだ。」
俺は頭が真っ白になる。叩かれた手は赤くなっていた。
「はっ、まさか本気にしていたのか?どこまでも単純な奴なのだな。これだから面白い。まあ今日で縁を切るのだから、もう私に近づくんじゃないぞ。じゃあな、今までの遊びはとても楽しかった。」
それだけ言うと、レインは階段を登っていった。
「レイン……本当に遊びだったのだな。疑ったりして悪かったな。」
「いえ。むしろ私が叔父様に疑わせてしまったことを悔いております。本当に申し訳ありません。」
「くくく、よい……よい。そうだ、お前ももういい歳だ。後で私の部屋に来なさい。」
「はい。それでは、失礼します。」
そんな会話が聞こえた気がする。そして、その男は俺を見ると表情を変え、一言こう怒鳴った。
「いつまで私の前にこんなものを置いておくつもりだ!!この敷地内から今すぐ出せ!!」
そうして、俺は使用人達に連れていかれたのだった。
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