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孤独な1週間(4)にしおりをはさみました!
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孤独な1週間(4)
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「いらっしゃいませー」
コンビニに着いた頃には、息が上がっていた
少し汗ばんだ額
抑制剤を飲んだからといって外出したのは失敗だったな
早いところ買い物を済ませて帰ろう
陸「ふう………あ、すいません」
菓子パンを適当に買い物カゴに放り込んでいた時、一人の男にぶつかった
男「ああ、ごめんね。」
ヒョロっとした体型に少し大きいスーツ
伸びかけの髭にボサボサ頭、チンチクリンな男だった
男「…大丈夫?顔、赤いけど」
男は商品棚のあんぱんを手に取りながら、俺の顔を覗き込むように見る
スンスンと鼻を鳴らす音が聞こえた気がしたのは、俺の考えすぎか
陸「お構いなく…」
妙に馴れ馴れしい男に怪訝な視線を送る
面倒事には早期退散が一番だ
俺はそそくさと男の後ろを抜け、牛乳を求めて奥の方へと通路を進もうとした
その時だった
陸「あ」
恭二郎「あ」
奴に出くわした
部活動帰りの風貌で、おそらく柔道着の入った袋を肩から下げて
片手に持った買い物カゴには食パン、焼肉弁当、唐揚げ弁当、サラダ、牛乳、そしてチョコレート
陸「…チョコ好きなの」
厳つい外見に見合わない商品を指摘すると、虎岩は少し恥ずかしそうに顔を逸らした
恭二郎「まあ、はい」
陸「ん?弁当二つ?…片親?」
恭二郎「いや、自分の分です」
陸「二つ食うのかよ!」
そしてその体格になるわけね
一人静かに納得したところで、先程の男がチラチラと俺を見ていることに気づく
陸「…」
発情、悟られている?
αの匂いはしなかったが
一応警戒しておこう
陸「じゃ、お先……て、あれ」
虎岩に一声かけて帰ろうとくるりと振り返ると、奴の姿はなくなっていた
陸「いつの間に…」
でかい図体して、忍者みたいな奴だな
俺は牛乳をせっせとカゴに入れるとレジへと向かった
「1240円になります」
レジ係の女性がやけにチラチラと俺を見る
そういえば、後ろに並んでいる老人も
隣のレジで会計をしているおばさんも
陸「…………」
ああ駄目だ
一度意識すると止まらない
ここにいる全ての人の視線が俺に注がれている気がして
嫌な汗が滲む
皆が俺がΩだって
発情期だって気づいているような
そんな事、あるはずないのに
「ありがとうございましたー」
レジ係の声を全て聞き終えるより先に
早歩きで、逃げるようにコンビニを後にした
早く帰ろう
早く
誰かに会う前に
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