アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
番外編23ひと夜咲く純白の花の願い
-
インフルエンザは、発症から12時間〜24時間経たないと正しい検査が出来ない。
幸い、僕と杏子さんは今の所インフルエンザらしき症状はない。
それに僕は予防接種を受けているので絶対ではないけど、多分大丈夫だ。
マキは、三階から毛布を持って事務所に下りてソファーで横になって寒がってる檸檬に掛けてあげた。
事務所では、今後について、百目鬼と杏子と檸檬が話していた。
百目鬼「…。まぁ…、そうだな、杏子も保菌してるだろうし、事務所は閉鎖だ、今抱えてるのが3件、そのうち2つはなんとかなる、だが、梅さんの依頼の人探しは難しそうだ…、賢史にも協力してもらおう…」
檸檬「了解で〜す」
ダルそうな2人。
2人とも悪寒がするようでまだまだ熱は上がりそう。
杏子「しかし、困りました…、3人も脱落者が出るなんて…、私一人じゃ見きれません」
なぜか、僕を見つめて言う杏子さん。
檸檬「そうだよ、杏子1人は無理だよ。矢田ちゃん熱があっても動けちゃう人だから、杏子1人じゃ百目鬼さんまで手が回らないよ」
なぜか、檸檬さんとも目が合った。
マキ「…僕…、料理出来ないから、看病位しか出来ませんけどそれでいいなら」
百目鬼「おい、お前はもう先生のとこ帰れ、約束は明日だけど、お前もいつ倒れるかわからねぇだろ。俺は1人でいいし、なんかあったら雪哉に頼む」
マキ「…僕、予防接種してるから平気だよ。てか、百目鬼さんさ、自分はいいかもしれないけど、杏子さんもインフルになっちゃったら、3人はどうするの?インフルエンザは、発症まで1日2日、長くて3日潜伏してるんだよ。それも雪哉さんに見てもらうの?」
百目鬼「うっ…」
マキ「僕は病気になったら先生のとこ帰ればいいけどさ。もし、インフルになるにしてももう保菌してるだろうし、今から避難しても遅いよ。だったらここで看病した方がみんなをお手伝いできるよ?」
檸檬「マジ天使」
百目鬼「だが…」
マキ「まぁ、料理出来ないし、看病と買い物位しか出来ないから〝邪魔だ〟って言うなら帰るけど…」
杏子「邪魔だなんて。私1人では、宇宙一馬鹿で高熱あるのに元気な男と、仕事馬鹿で意地っ張りな男と、我儘な弟の面倒見れませんし、私が倒れたらもう救いが無くなってしまいます」
杏子が嘆いて、百目鬼を見つめる。
百目鬼は、返す言葉がないようだ。
百目鬼「…じゃ、邪魔なんじゃなくてだな…、悪いだろ?」
マキ「ふふ、僕、看病は得意だよ♪」
檸檬「百目鬼さん、百目鬼さんは自分だけ雪哉さんの美味しいご飯食えればいいんすか?」
百目鬼「…うっ、雪哉には、本当にダメな時にだけ…」
檸檬「雪哉さんは仕事があって昼間いないじゃないっすか!杏子がどうなってもいいんすか?」
檸檬と杏子の訴える眼差しに、百目鬼は根負けし、マキになんとも複雑そう視線を向けた。
ふは♪困ってる百目鬼さん尻尾が下がっちゃって耳垂れて可愛い♪
百目鬼「…悪い、頼めるか?」
マキ「ふふ、もちろん♪」
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
杏子さんと檸檬さんと連絡先の交換をして、僕はマスクして買い物に、杏子さんは、車を取ってきて檸檬さんを自宅に。
僕は料理が出来ないから、レトルトのお粥やうどんを買って、飲み物と後は杏子さんのお使いをして…、あっ、蜂蜜と生しょうがも買っておこう。
事務所からスーパーの間の杏子さんの家にお使いの荷物を置いて、百目鬼さんの待つ事務所に帰った。
マキ「あーっ!百目鬼さん!なんで寝室で仕事してるの!」
寝室を覗いたら、百目鬼さんはノートパソコンを広げていた。
マキ「寝てなきゃダメじゃん」
百目鬼「眠くないし、パソコンぐらい平気だ」
うん、確かに仕事馬鹿。
マキ「ああ、それ、梅さんの探してる孫の資料?」
百目鬼「そうだ」
マキ「親が離婚しちゃって父方の梅さんと暮らしてたけど父親とは仲が悪くて外泊ばかりで、今、半月帰ってないんだよね。柄の悪いのとつるんでるって」
百目鬼「それは、ヴァイラスのことだ」
マキ「ヴァイラス?あの悪い少年グループ?」
もう調べたの?
百目鬼「知ってるのか?」
マキ「知ってるよ。これ大変な依頼になるんじゃない?」
百目鬼「…まぁ、普通の探偵ならな」
マキ「?」
百目鬼「俺は元朱雀だ、ヴァイラスよりはるかに規模のデカイとこにいた、だから色々他のグループに裏に顔が効く。昔やり合った野郎とか、知り合いがな」
そっか、百目鬼さん、昔の知り合いとか辿れば、色々と調べること出来るのか。
マキ「じゃあ早く聞き込みいけるように寝て治さなきゃね♪熱計って」
体温計を差し出すと、百目鬼はさっき計ったと押しのける。
マキは、そんな百目鬼の態度にニコォ〜っと微笑み掛けて小さい子に言い聞かすように。
マキ「はいはい、ボクちゃん我儘言わないでお熱計りましょうね〜♪」
百目鬼「気色悪い声出すな!それと早く着替えろ、矢田がいないのにいつまで女装してるつもりだ」
あっ、そうだった、まだ女装のスカートのままだった。すでに馴染んでいたから、買い物にもこの格好のままで行っちゃった♪。
マキ「あはっ♪、せっかくだからナース服着て看病してあげようか♪♪」
百目鬼「叩き出すぞ」
ーピピッ
38度5分…やっぱさっきより高い。今は喋れてるけど、そのうち喋るのもしんどくなるだろうな…、矢田さんだいぶ咳き込んでたし。
マキ「今晩は残念だったねせっかく雪哉さんと2人にしてあげようと思ったのに」
マキの言葉に百目鬼はため息混じりに言った。
百目鬼「…お前は何がしたいんだ…」
マキ「何がって…、えへ♪百目鬼さんに心の春が来ればいいなぁって♪」
百目鬼「…お前、人の敷地にズカズカ来んなよ、余計なお世話だ」
マキ「……んー、余計なことしたなら謝るけど、百目鬼さん勿体無いじゃん、夜は猛獣だけど昼間はいい男で可愛いのに♪」
マキの言葉に訝しげな顔をするの百目鬼は、熱のせいで瞳が潤んでいて、迫力のない睨みを向けてきた。
百目鬼「ふざけるな、可愛いってなんだ…言われたことねぇよ」
マキ「え?そうなの?百目鬼さんすっごく可愛いのに、雪哉さんなら分かるんじゃない?言われたことない?」
百目鬼「あるわけねぇだろ」
マキ「百目鬼さんツンデレだからさ、まぁ、普段凄く凄く優しいんだけど、言葉が乱暴だから、言ってから後悔してその後気にして困った顔とか、相手に凄く気を使ったりとか、見てて可愛い…」
百目鬼「そうかそうか、調教師様はそうやって人を操る…」
言いかけて、百目鬼は口を噤んだ。
マキは、黙ったまま微笑んでる。
マキ「…」
百目鬼「ッ…、悪い」
仕方ない…、百目鬼さんは僕といるとイライラするみたいだから。
百目鬼「お前も悪いんだぞ、人の面倒見て回って、余計なことしてないで自分のことやってろよ、賢史はおっさん臭いけどいい奴だぞ」
マキ「…僕は、どっちかって言うと、…百目鬼さんの方がいいな♪」
百目鬼「あ?…ふざけるのも大概にしろ」
信じられないといった冷めた瞳。
あまりに予想通りで
笑えてきた。
マキ「ウフフ♪。遅くなったけど、お昼にしよう、うどんでいいよね♪」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
448 / 1004