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番外編98ひと夜咲く純白の花の願い
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そこは、マキが修二たちを連れ込んだことのあるマンション。
鍵を使って入り込むと、玄関に靴が3足。
その中に一つだけ革靴が混じってた。
百目鬼さんのだ。
靴をすぐさま脱いでリビングに繋がる扉を勢いよく開け放った。
殺風景なリビングには、修二と百目鬼さんが向かい合って座り、2人を見守るように泉が少し離れた席に座っていた。
修二「むつ!?」
殺気立ったむつを見た修二が驚いて立ち上がる。むつはすぐさま修二に詰め寄った。
むつ「俺に内緒でなにやってんだ修二!!」
修二「内緒にしたのは悪かったけど、用事があったんだよ、むつに言ったら前みたいに張り付くし、煩いじゃない」
むつ「煩いとは何事だ!お前の心配してんだろうが!」
修二「大丈夫だよ」
むつ「何が大丈夫なんだよ!」
むつがキャンキャン吠えてるのを修二がなだめる中、僕は非常に冷静でにこやかに怒ってる。
僕の登場にさして驚いてない様子の泉と目が合って、ニコッと笑ってみせた。
マキ「泉く〜ん♪なにしてるのかなぁ?」
泉「何って話しをしていただけですが?」
悪びれる様子のない泉に、イライラが募るが、僕はにこやかな笑顔を崩さない。
マキ「何のお話をしてたのかな?」
泉「百目鬼さんがマキをペット扱いしてるみたいなので止めていただきたいとお願いしていた所です。百目鬼さんのせいでマキは京都の大学を受験して消えようとしてるとお伝えしました」
修二を前になんの話をしてんだふざけんな!
それじゃ百目鬼さんが僕を人間扱いしてないみたいじゃないか!百目鬼さんは悪くないのに!!
ってか大学バラしやがった!!
確かに京都も受けるけど、そこは逃げるために選んだんじゃない!もともと第二希望だった!泉だって知ってるはずだ!!
むつ「ペット!?京都!?」
ほらほら早とちりのむつ君が誤解してるだろうが!!
マキ「違うよむつ、誤解だよ。
おかしいなぁ♪、僕は泉にそんなこと言った覚えないんだけどなぁ、事実を偽って人に言いふらすの止めてくれない?迷惑♪
僕が百目鬼さんを襲ってるの間違いだろ?それに京都の大学受けるのは去年から決まってたし、僕はやりたい勉強があるんだよ♪」
泉「ペットって言いましたよ。可愛くてお利口なペットでいるよう努力すると言ってました」
いーずーみー!
僕はペットだなんて言ってない!
むつ「百目鬼てめー!!」
泉の言葉を聞いていたむつが弾かれたように飛びかかる、ソファーの間のテーブルを乗り越え、凄い形相で百目鬼さんに殴りかかろうとした。僕は慌てて止めに入ってむつの拳を止めた。むつは小柄なのに力が強い。止めるのだけで精一杯だ。
マキ「むつ!!やめろ!!」
むつ「百目鬼の野郎許せねぇーよ!」
マキ「僕が勝手にやってるんだ!百目鬼さんは何も悪くない!!」
むつ「はぁ?!お前が跨がろうがヤッてんなら百目鬼に責任があるだろうが!!」
うーん、それ百目鬼さんも言ってた、てか、百目鬼さんとむつって地味に似てる。
マキ「ふふ、よく言うよう、自分だって修二と付き合う前に何度もセックスしてよね♪」
むつ「ッ!あれは!お前がやったんだろうが!!」
マキ「人のせいにするよは良くないな♪、僕が君たちをヤらせた後、むつ君の意思で2人とセックスしてたろ?その時責任取ろうとした?、修二を愛してるか?とかそんなこと考えた?むつ君も華南も考えなかったろ?君が気持ちいいからってしてて、セックスされてた修二がどんな気持ちかなんて思いもしなかったはずだよ。そうでしょ?♪」
むつ「!?」
痛い所を突かれてむつがぐうの音も出ず歯ぎしりした。
しかし、ここにいたのはむつみたいに言いくるめるのが簡単な面子じゃない。
修二「じゃあ、何?マキと百目鬼さんはどんな関係なの?」
マキ「あは♪修二には関係ないでしょ?」
修二「マキと百目鬼さんは恋人同士なの?」
マキ「ッ!」
百目鬼さんはご主人様だ…。
恋人じゃない。
修二にはそんなこと言えない…。そんなこと言ったら百目鬼さんを困らせる。
修二にも誰にも言ってはいけない、僕の我儘でご主人様になってもらったのに、「ご主人様」だなんて人に説明したら、百目鬼さんが悪者になっちゃう…。
なぜほっといてくれない、
やっと…
やっと、側に居られる理由が出来たのに…。
マキ「…僕が言い寄ってるだけだ。僕が毎回薬使って百目鬼さんに跨ってるだけ、百目鬼さんはちゃんと断ってる。修二の次に好きになる子を大切にしたいからって、ちゃんとしようとしてるのを僕が薬で動けなくして強要してるだけだよ。そうだよね百目鬼さん!」
振り返って百目鬼さんを見ると、百目鬼さんは眉間シワを寄せて、とても悲しそうな瞳をしていた。
百目鬼さんを傷つけた…
僕が無理やり言いよってるだけなのに…
修二にバラされて傷つけた…
マキ「…ごめんね百目鬼さん…、修二にいらない誤解をさせた、何か言われた?ごめんね、修二にはちゃんと説明しておくよ、僕が悪いってちゃんと言っとくから、そんな顔しないで♪ね♪
あは♪いやーごめんね、まさかこんな風に誤解させるなんて僕の下半身がだらしないがために周りに誤解させて本当にごめんね百目鬼さん。百目鬼さんのこと困らせてばかりだね♪いい加減にしろだよね♪、ごめんね♪」
僕は弁解しながら謝ると、百目鬼さんの悲しそうな瞳は色濃くだんだんと睨むように変化する。
するとうるさい獣がまた吠える。
むつ「うそだ!お前の言ったことは嘘ばかりだ!」
むつ君は無駄に鼻が効きすぎ!
あーもー面倒くさい!
マキ「やだなぁ♪嘘じゃないよ♪」
むつ「だったらなんでそんな真っ黒な目してる!」
無駄に鋭い野生の勘!
その勘は修二にだけ使っとけ!天然獣が!
マキ「ふふ♪、そう言っとけばこっちが尻尾出すとでも思ってるの?本当のこと言ってるんだから、無駄だよ♪」
むつ「なんだと!!
おい!百目鬼!!お前がハッキリしねぇからこんなことになってんだぞ!」
マキ「百目鬼さんは関係ないの、百目鬼さんが嫌いだからって八つ当たりしないでよ」
むつ「はぁあ!?関係あるだろうが!好きでもないない相手バコバコヤッといて自分は襲われたからなんて言い訳通用するわけないだろ!!」
ッ!!
どうして…
ほっといてくれない…
やっと…ここまで来たのに…
どうして…
どうして…
修二「むつ、興奮し過ぎ落ち着いて」
むつ「落ち着け?!この状態で落ちつけるかよ!マキは百目鬼が好きなんだろ!俺はこんな奴絶対ゆるさねぇけど、マキは好きなんだろ?それ分かってて百目鬼はマキと寝てるんだぞ!?それを跨られたからって何度もヤっていいわけねぇだろ!男なら責任取るべきだろ!責任とれねぇならキッパリ振ってやるべきだ!!」
修二「むつの言ってることは正しいかもしれないけど、白黒ハッキリさせれば済む問題ばかりじゃないんだよ。むつだって僕とした後すぐに付き合うっていったわけじゃないじゃん」
むつ「ぐッ!それは、男同士の恋愛ってもんが頭になかったからで…。てかマキの話だろ!マキ抜きでこそこそ話してんじゃねーよ!修二には分からねぇのか!自分抜きでこそこそされて気分いいわけねぇだろ!マキに聞く権利があるはずだ!」
修二「…」
百目鬼「…別にこそこそしてたわけじゃない。ちゃんと奏一の許可はとった」
むつ「俺の許可をとってねぇんだよ!」
修二「ごめんねむつ。それは、マキの名前と話の断片だけ聞いたむつにだまってたら、むつがマキを連れてくると思ったからだよ」
むつ「は?」
マキ「!?」
ニッコリ微笑む修二を見て、僕はやっと自分がはめられたことに気がついた。
修二「これでわかったろ、百目鬼さん」
百目鬼「ああ…、よく分かった」
意味深な2人の会話。
意味がわからず唖然としてるむつ。
そして意味が分かって瞳を瞬く僕。
百目鬼「マキ、お前、俺がまだ修二を好きだと思ってるだろ?」
マキ「……好きは好きでしょ?」
百目鬼「俺がお前と関係を持ったこと、修二に隠したいと考えてるとおもってるだろ」
マキ「…そう…でしょ?」
百目鬼「俺は、修二と話し合いを持った日に、全部話した。今回会った時は、お前と〝付き合ってる〟って報告した」
むつ「はぁあ!!つ、つ、つき…」
マキ「ッ!!?付き合ってる?」
百目鬼「なんでそんなに驚く…」
マキ「ちょっ!百目鬼さん正気!?修二の前だよ!」
百目鬼「修二の前だからだろ」
マキ「だって…」
百目鬼「俺はお前をそうゆうふうに扱えてなかったか?優しくできてなかったか?」
マキ「や、優しかったよ。すっごく優しかったよ…でも…、百目鬼さんはあの時…」
僕のご主人様になるって言ったんだ。
だからてっきり…
むつ「おい!百目鬼!ちゃんとマキを好きなのか?好きだって言ったのかよ!?あ?マキみたいな奴はハッキリ言ってやんなきゃ分かんねぇーんだよ」
むつにギロリと睨まれて、修二と泉と僕の視線の集まる中、百目鬼さんはゆっくり口を開いた。
百目鬼「……、悪いが…、正直な話し………俺はマキを……好きだとは言えない」
心の中でやっぱりって思った……
聞きたく……
なかった……
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