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お兄ちゃん相関図模様
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マキはワンピースから腕を抜き、上半身を露わにした。
ワンピースは腰に引っかかった状態でとまってる。
色白で線の細い体。それは男っぽいというより、顔と同じで女みたいに色気のある柔らかな曲線。
だが、そこには膨らみはない、真っ平らな胸。
俺はマキの上半身を見て〝男だ〟と認識したと同時に、マキの色白の肌についた、様々な〝痕〟を見て喉が引きつった。
奏一「ッ!!!」
マキの華奢な白い体には、〝紅い痕〟と大きな〝歯型〟そして、腕には〝拘束の痕〟が赤く痛々しく付いていた。
マキ「……奏一さん、ビックリした?ごめんね」
俺は多分、真っ青になってるだろう。
マキのその姿に、あの時の修二の姿が重なって、全く動けない。
マキ「奏一さん、息止めちゃダメだよ」
言われて、自分が呼吸してなかったことに気づき、慌てて息を吸い込んだ。
奏一「分かった!男なのはわかったから、服を着ろ!!」
直視できずに目をそらす。
ダメだ、目眩がする、気持ち悪い…
マキ「奏一さん…」
だが、マキは優しく俺の名を呼びながら、その格好のまま俺の前に膝間付き、女の子座りで俺の手を取った。
マキの手が触れた瞬間ビクッと怯えた俺に、マキはニコッと微笑み柔らかで包むようなに言った。
マキ「奏一さん、大丈夫だよ、これは、僕が大好きな人と抱き合った痕だから」
奏一「ッ…」
マキ「ほら、僕の目を見て」
マキは、握った俺の手を自分の頬に導き、その柔らかな頬に触れさせ包み込むように握りしめ微笑む。
その瞳は、いつの間にかあの不思議な色の瞳に変わっていた。
奏一「…目が…」
マキ「ふふ、こっちが本当の色。僕はクォーターだから。奏一さんが固まってる間に黒のカラコン外したんだ」
奏一「…」
マキ「ふふッ、奏一さん、深呼吸して、手が震えてる」
息は、吸ってるつもりなのに、うまく息が出来ない。
マキが不思議な瞳で俺を見ながら、吸って吐いてとゆっくり囁くから、その通りゆっくり深呼吸した。
マキは素直に従う俺を見て、ニコッと柔らかく微笑みながら、頬に触れてる俺の手を握りしめたまま、語り出した。
マキ「ビックリさせてごめんね。
でもこれは、大好きな人につけてもらった痕なんだ、僕にとってはどれも愛しい痕。抱きしめてもらった証なんだよ。奏一さんだって女の子とSEXした時キスマークくらいつけるでしょ?」
奏一「……するが…、歯型と…ッ…、拘束はしない」
マキ「奏一さん、僕はね、SEX依存症なんだ」
は?何故唐突に?
マキ「ふふッ、お医者様がね♪、愛情に飢えてるのを体で埋めようとしてるって言ってた♪。だから、僕はね、こうやって痕つけてもらうと凄く落ち着くし、拘束プレイとか独占されてる感じが凄く嬉しいんだ♪。だから、これは強要されたんじゃないよ、僕がして欲こと♪。
でもね、僕の好きな人はね、本当はこんなことしたくないの。会えばSEXばかりなのも嫌なんだ、本当はもっと普通に付き合いたいって。でもね、僕がダメなんだ、いっぱいSEXして、いっぱい抱きしめてもらって、いっぱい痕つけてもらって、いっぱい束縛して貰わないと、自分に自信がない…。見えない気持ちはいつ消えてしまうか分からないでしょ?だから、怖くて、今は優しい彼の心が、別のところへ行ってしまう気がして。僕の好きな人はもっと心を通わせようって言ってくれるけど、僕には…、この痕が薄れてしまうと…自信が持てない…怖い…」
マキは、淡々と語りながら、その瞳は大きく揺れ悲痛の色を滲ませる。
思い出した…、この影のある瞳…。
修二だ。昔の、修二の影りに似てる…
マキ「僕は、ずっと好きな人のそばにいて、束縛されて毎日SEXして痕をつけてもらってないと、ダメな奴なんだ…。マゾじゃないんだけどね。大好きな彼の優しさを食べて生きてるの♪♪
奏一さんは、僕みたいなゲイでSEX大好きな子は気持ち悪い?」
ええっ!?なぜそんな話を?
マキが何を考えているのか全然分からない。だけど、説明されて、血の気は戻った。陵辱された痕なのかとゾッとしたが、マキの瞳は、愛しそうに切なげに語っていた、嘘ではないと思った…。恐る恐るその痕を見ると、歯型は痛々しいが、体のあちこちにあるキスマークは全身に口付けたことを示している。
その部分ではホッとしながら、考えてしまった。この子が男と絡み合ってる様を……
奏一「……気持ち悪くはないが…………」
マキ「ふふっ、嘘つき。〝意味分かんない〟〝気持ち悪い〟って顔してる」
奏一「それは…、いきなり脱いだりされたら意味わからないだろ、…それにそういう傷見るのが苦手なんだ…。だから気持ち悪いなんて差別したわけじゃ…」
マキ「奏一さんは、修二と似てるね。…この場合修二が奏一さんに似てるのかな?数回しか会ってないよく分かんない僕なんかに気を使わなくていいのに」
奏一「君は…修二の友達だろ」
マキ「ねぇ奏一さん、疲れない?そんな風にアレコレ考えて気を使うの。本当は〝男同士なんか気持ち悪い〟って思ってるんでしょ?」
奏一「なっ!?俺は!そんなこと思って無い!!俺は、差別なんかしてないし、気持ち悪いなんて思ってない!!」
マキ「…」
奏一「…俺が、差別してるように見えるのか?
それとも、修二がそう言ったのか?」
マキ「修二は、奏一さんが気持ち悪いと思ってるなんて思ってないよ。言ったでしょ?修二は奏一さんが1番の理解者だって言ってるって」
奏一「俺は…」
マキ「ねぇねぇ奏一さん、僕は自分のこと奏一さんに話したから、奏一さんの事も僕に教えてよ」
奏一「ッ…お前が勝手に喋ったんだろ!?」
マキ「えー♪、だって聞きたかったでしょ?♪〝その傷どおしたんだ〟って〝まさか無理やり〟って真っ青な顔してた♪」
奏一「ッ…」
マキ「ふふっ。修二は奏一さんに差別されるとは思ってないよ、ただ、いい弟でいたかったって漏らしたことはある」
奏一「修二は俺にとって大事で出来すぎた弟だ、なんでそんなこと…」
マキ「あなたの自慢できる弟でいたかったんだ」
奏一「修二は自慢の弟だ!!」
マキ「…ゲイであることを奏一さんに隠してたでしょ?」
奏一「!!」
マキ「アレは、修二が貴方の普通の自慢出来る弟でいたかったから」
奏一「…………」
この子は何が言いたい?
マキ「ああ、分かりづらかった?」
まるで、何かが見えてるように俺を見る。
その不思議な瞳は一体何を見透かして暴こうとしてる?
マキ「奏一さんにとって、今悩んでることは、今更なことなんだよね。今更悩んでるから、聞くに聞けなくて煮詰まっちゃってるんでしょう?」
え?
ドキッとするような、的を射てる言葉。
マキ「修二のために、百目鬼さんと和解するのを見届けた。だけど、自分は許せてないし許したくない。だけど。修二と百目鬼さんは和解して、何もなかった時間に戻ったみたいに過ごしてる。何もかも平和に解決したのに、自分だけが取り残された」
奏一「…」
マキ「奏一さん、昔は百目鬼さんをお兄さんみたいに慕ってたんでしょ?1番信頼していた人からの裏切りはさぞ大きなダメージだったよね。憎んで恨んで、だけど、修二と百目鬼さんは和解してしまった。百目鬼さんと会うたびに、昔を思い出しちゃうんでしょ、酷い裏切りをした百目鬼さんと、優しかった百目鬼さんを…。だから気持ちの整理がつかない。許せてないけど、修二のために怒れない、許したいけど恨む気持ちが消化できなくて許せない。二つの気持ちに挟まれながら、さらに考えてる。こんな風に悩む自分は、修二の気持ちを理解してやれてないからじゃないかって…、修二のために百目鬼さんと波風立てちゃいけないと思いながら納得できない自分がいて、百目鬼さんと会うようになって益々混乱してる。誠実に接しようとしてる百目鬼さんを許したいけど許したくなくない……」
どおして…、見てきたみたいに……
マキ「悩みの選択肢を増やして複雑にしちゃうのは、さすが兄弟と言うべきか…、こんなに複雑に悩んでるのに、そこにゲイへのセクシャリティーを理解しようとか、受け入れようとか。そんなごっちゃ混ぜ状態で悩みが解決するわけないですよ。別々の悩みを一緒にしたらいつまでも答えなんか出ないよ?だって、もう見当違いな悩みになっちゃってる」
奏一「見当違い?」
マキ「修二を理解できてるか?百目鬼さんを許せるか?そこから始まって、今は、〝男を受け入れられるか〟って悩んでない?」
奏一「え!?」
マキ「違う?」
奏一「…あ…それは…、その…、なんで見当違いなんだ。俺は、ゲイのセクシャリティーを理解したいと…」
マキ「…奏一さんは男と恋愛したいの?」
恋愛したい訳じゃないけど…、恋愛出来るかとか、男の恋愛ってどんなんだとか、確かにぐちゃぐちゃ考えてはいるけど…、頭から否定することもできない…
男同士だって、人に恋してその人を愛しいと思うものだと考えれば、男女と変わらないし…。
奏一「…ぁ…それは…、今、色々考えてて…」
マキ「全部バラシて考えなきゃ。修二を理解出来てるか?、むつと華南との付き合いを許せるか?
男同士の付き合いに理解あるってことと、男同士でお付き合いを出来るっていうのは、全然違うことなんだよ。
奏一さんは、男を受け入れられるか悩んでる。〝色々考えてる〟?。男同士がどんなか気になって色々考えるのは、恋に悩んでるから?
受け入れたいと思ってる相手は、百目鬼さん?」
奏一「……」
え?
今、なんて?
昔のように柔らかいあの人の微笑み。
その優しい微笑みと、頼もしい行動力…
俺は…確かに…恨むのに疲れてた………
この子は一体、何を言ってるんだ?
俺が誰を受け入れたいって?
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