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ー芽生え歌うー5
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神さんは、歯軋りしながら暴れる感情を抑え。
眉間にシワを限界まで寄せて睨んできて、その怖い顔のまま神さんの大きな手で僕の頭をガシッと掴んで、勢いよくグシャグシャっとかき回してきた。
髪の毛グッシャグシャでちょっと目も回ってクラクラしてる僕に、神さんは更に歯軋りして唸ったかと思ったら、僕の唇にガブッと噛み付いて息も奪う勢いで激しいキスをしてくる。
もう!
ライフをまた一つ失っちゃったよぉ。
獰猛な猛獣のままなら、手綱をさばけたのに…、どこまで甘くて可愛らしいワンちゃんになっちゃうの?
僕、もう、お手上げです。
泉『フッ』
マキ「もぉ、笑い事じゃないんだよイズミィん」
酔った日に迷惑かけた泉に、お礼とお詫びの電話をしたら、泉に鼻で笑われました。
泉『今まで散々他人を引っ掻き回してたんですから、せいぜい沢山悩んで精進しなさいよ』
マキ「だからー、心臓もたないんだよぉ、死んじゃうよぉー、もうライフゼロだよぉー。百目鬼さんがあんなに化けると思わなくて…、なんか全然慣れないよぉ」
泉の前だから、洗いざらい嘆くが、泉はこんな時でも冷たいほど冷静な反応で僕を叱る。
泉『惚気を聞かせたいなら切りますよ。貴方はバカなんだから、バカ同士円満で良かったじゃないですか。それに、マキの望んだ通りの結果じゃないですか、毎日SEX三昧で前から後ろから愛されて、灼熱に焼かれるように愛されたかったのでしょ?』
マキ「それは、だいぶ昔の複数と付き合ったらの話じゃん、修二達みたいに2人相手に付き合ったら、この僕の性欲満たして毎日精液まみれの悦楽を貪れるかなぁって話じゃん」
泉『いいえ、言ってましたよ。灼熱の愛情に焼かれたいってね』
マキ「えー、言ったかなぁ?」
泉『とぼけても私の記憶は誤魔化せないですよ』
マキ「ふーん、僕より成績下だったのに?」
泉『おやおや、3年になってからは私が上でしたよ。誰かさんが恋煩いになりましたからねぇえ』
ウッ…。
電話の向こうにいてもわかる。
鼻持ちならない態度で嘲笑う泉の姿が。どうせ右手で眼鏡を持ち上げて得意げに笑ってるんだ。
泉『フフッ。…まぁ、私も百目鬼さんがあそこまでに化けるとは思っていませんでした。一時別れた時は、やっぱりねって思いましたから』
マキ「よく言うよ。泉だって百目鬼さんに時計治させたり、なんか余計なこと言ってたんでしょ」
泉『…私は、貴方が余計なことした仕返しをしただけですが?』
マキ「ブゥー」
泉『フッ。散々メソメソ泣いたくせに、余計な事とはどの口が言うのか。貴方、自分がどれだけ情けない格好だったか自覚がないわけじゃないでしょ?きっとあのままだったら、4ヶ月だった今も、メソメソ泣いてましたよ』
マキ「泣きません。4カ月もあったらちゃんと清算してたし、ちゃんと見えない所に行くもん」
泉『無理ですよ。だてに貴方の世話係やってたわけじゃないですよ。きっと戀兎に話しても同じこと言われますよ。それぐらい、貴方は百目鬼さんのこと好きなんです。自覚して下さい』
マキ「うっ…、そんなに?…ってか、自覚はしてるよ、ちゃんと言ってるじゃん、僕は百目鬼さんが好きだって」
泉『いいえ、まだ、自覚が足りませんよ。もう一度よく考えてください。百目鬼さんと出会う前の貴方に笑われますよ。じゃ、私は忙しいので』
そう言って、泉はブチっと電話を切ってしまった。
マキ「…百目鬼さんと出会う前の僕に笑われる?いや、今の僕を見たら笑うとは思うけど…、ワタワタしちゃってるからじゃなくて?…。自覚が足りないってなんの?僕は神さんのこと大好きで好きすぎるくらいだって〝ちゃんと〟自覚してるんだけどなぁ…」
泉の言った意味を考えてみたけど、結局何も思いつかず。
その日、仕事から帰ってきた神さんに、朝の言葉通り、飲酒したことに対してのお説教をコッテリされた。
朝の流れなら、お仕置きSEXかなぁって思ってたけど、全然違くて、フローリングに正座でタップリと絞られました。
20歳になるまでは、二度と飲むなと怒られて、もし破ったら、1週間神さんの手料理抜きだって言い渡された。僕は涙目になりながら二度としませんと誓い、今回のことは許してもらいました。
神さんの手料理1週間抜きなんて絶対嫌だ。
僕、餓死しちゃうよぉー。
結局、お仕置きSEXは無しで、明日大学だからと早く寝かしつけられちゃった。
甘々な神さんには心臓もたなくて困るけど、甘くないと甘くないで、ちょっと寂しくなっちゃう僕って、ダメダメなんだろうなぁ…。
泉『自覚して下さい』
いったい、泉はなんのこと言ってるのかなぁ?
翌日、僕は珍しく早く目が覚めた。
二日酔いで土曜は寝て過ごし、日曜も早く寝かされて、沢山寝たのと、SEXしない土日は珍しい。
早すぎる時間に目が覚めちゃったから
僕の隣には、神さんが居なかった。
ミケ「にゃぁー」
マキ「ミケ、おはよう」
神さんの代わりのように、僕の目の前にミケがいた。
ミケは毎朝枕元に居る。僕を起こしてくれるように挨拶してくれる。
マキ「いつもより1時間も早く目が覚めちゃった。ミケ、神さんは台所かな?」
ミケ「にゃぁー」
神さんは、朝先に起きて朝食を準備してくれてるから、台所なのかと思った。
ミケは喉をゴロゴロ鳴らしながら僕に擦り寄ってくる。ミケの毛は、短いけどサラサラ、神さんがいつも丁寧に手入れして可愛がってるから、ミケはいつでもサラサラの美人さん。
僕はミケを抱っこしてリビングに顔を出した。
だけどリビングにも、リビングから見える台所にも神さんの姿はない。
マキ「あれ?」
リビングには、朝食の準備もまだで、いつもならパンの焼ける匂いと蜂蜜のいい匂いがしてるのに。
リビングのゲージの中では、ヨダレを垂らしてキングが寝てて、僕は足音を立てないようにソロっと歩いて洗面所を覗くことにした。
あっ、洗面所の電気付いてる。
神さん顔洗ってるのかな?
そう思ってドアを開けようとしたら、隙間から見えた光景にドキッと驚いて手が止まった。
え……
それは、暫く見てない光景だった。
洗面台に両手を付いて項垂れ、落胆してる様子の神さんの姿。
百目鬼「……はぁ………」
ドアの向こうで、神さんが深いため息をついた。
落ち込んでるのか、疲れてるのか…
そのため息は、苦悩しているように見えた。
今までSEXした後ああして落ち込むのを何度も見てきた。
だけど昨日は僕と神さんとSEXしてないのに…
え?
なんで?
僕…、なんかやった?
それとも毎朝こんな風なのかな?
どうしよう、見なかったことにしたほうがいい?
急に怖くなって、血の気が引くのが分かる。
足を動かさなきゃと思っても、一歩下がることができない。
どうしよう…。
ベッドに戻らなきゃ…
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