アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
2にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
2
-
「玄関に回って上がってらっしゃい」と言って、母さんが縁側を上がる。
僕はもう一度紺を撫でて、浅葱を伴って玄関に向かった。
玄関を上がって奥へ進む。屋敷の奥の、中庭に面した部屋の前で声をかけて木の扉を開ける。中では父さんが、一人がけのソファーにゆったりと座ってお茶を飲んでいた。
「父さんただいま」
「おかえり。元気そうだな」
「父さんも元気そうでなにより。父さん、僕、希望してた大学に合格しました。いろいろとありがとう」
「そうか…おめでとう。よく頑張ったな」
「うん。今日はこの報告に来たんだ」
「久しぶりに来たんだ。泊まっていくだろ?」
僕は、父さんの向かい側にあるソファーに座って首を縦に振る。
「うん、そうする。明日の朝には帰るけど」
「そんなにすぐ帰ってしまうのか?残念だ…。まあ、おまえも忙しいのだろうけど。杏に食べたい物を言っておくといい。言わなくとも、おまえの好物をたくさん作るだろうけど」
「そうだね」と僕が笑って頷いていると、扉が開いて、お盆を持った母さんが入って来た。
「外まで聞こえてきたのだけど、青藍、今日は泊まるのね?じゃああなたの好きな物、たくさん作らなきゃ」
テーブルにお茶とお菓子を並べて、僕に食べるように勧めながら言う。
浅葱にもお茶を飲むように言って、「今から買い物行って下ごしらえしてくるわ」と、いそいそと部屋を出て行った。
浅葱も「荷物持ちしてきます!」と急いでお茶を飲んで、母さんの後を追いかけて出て行った。
僕は、浅葱が出ていった扉を見て苦笑する。
「ねえ父さん。年明けには浅葱は八大天狗に昇格するんでしょ?大丈夫なの?」
「ああ…、少々落ち着きがない所があるが、優秀なんだよ。昔からしろの傍に仕えていたからな」
僕は「ふーん…」と疑り深く返事をして、パイ生地にクリームを挟んだお菓子を口に入れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
196 / 207