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43にしおりをはさみました!
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43
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リオとしばらく話し込んでいると、アルファムが戻って来た。
無言で近くに来るアルファムの顔を見て、二人して震える。
するとリオがいきなり立ち上がり、「シアン様の所へ行ってきます!」と言って、 そそくさと部屋を出て行ってしまった。
ーーあ、逃げたな、もう…。アルどうしたんだろう。怖い顔してる…。きっとベアトリクスさんのことだろうけど。
大きな窓の前に立ち、外を見てるようで見ていないアルファムの隣に並ぶ。
俺は、アルファムの腰に手を回して、そっと抱き着いた。
「アル、お疲れさま。ベアトリクスさん…どうだった?」
「カナ、心乱さず聞けよ?ベアトリクスは、自分が放った呪詛の魔法の跳ね返りによって、苦しんでいるそうだ。もう、助からぬかもしれぬ」
「…それって、死ぬって…こと?」
俺は、アルファムに更に強く抱き着く。
「ああ。呪詛の跳ね返りを受けた者を、助ける術はわからぬ。…あの女は、俺から母親を奪う原因を作り、カナと腹の子を亡き者にしようとした。処罰も死罪だと決まっている。罪人である女がどうなろうと、俺の知ったことではない。だが、ローラントにとっては、大切な母親だ。だから、自分の城に戻って最後の別れをして来るようにと許したのだが…」
「ローラント…、帰らないって言ってるの?」
「そうだ。俺とカナを気遣ってるのか…。あいつも中々に頑固者だからな」
「駄目だよっ、そんなのっ!そりゃあ、ベアトリクスさんは罪人だけどっ、俺とアルの子を危険な目に合わせたことを俺も怒ってるけど、ローラントは会いに行かなきゃ!絶対に後で後悔する!」
「カナ…。一番危険な目に合ったのはおまえだろ?自分が殺されそうになったことは、怒らないのか?」
「怒らないよ。だって、俺、無事だったし元気だから。アル、ローラントは今どこに?」
「たぶん部屋に。気が変われば、俺に挨拶などしなくとも城へ戻れと言ってある」
「俺、ローラントに会ってくる」
「体調は大丈夫なのか?」
「大丈夫。お願い、行ってきてもいい?」
「駄目だと言っても行くのだろう?俺も一緒に行く。部屋の外で待ってるから、ローラントを説得してくれるか?」
「うんっ」
アルファムの表情が、少し和らぐ。
俺は、アルファムから身体を離すと、アルファムの手を引いて部屋を出る。
ローラントの城までは、馬で行くとまる二日かかると聞いている。
でも飛翔馬だと、今から出れば明日の早朝には着くはずだ。
早くローラントを行かせなければと気が急いて走りそうになるのを、アルファムが手を引いて「走るな」と俺をいさめた。
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