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* Scent.6 *
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1人で抱えていたものを涼風に伝えられただけでも、きりきりと締めつけられていた心はいくらか楽になった。
「立花君。それは立派な脅迫だ」
力のある者に従わなければならない思考に捕らわれていた立花は、涼風の言葉ではっとなる。
しかし、たとえ立花が公的な機関に助けを求めたとしても、被害を受ける涼風とは所詮他人同士であるし、まともに取り合ってくれなかっただろう。
「いくらメディアが騒いだところでどうにもならないさ。先生と口裏を合わせればどうとでもなるのだからね。せっかくここまでいらしたんだ。自分の起こした行動の結果が徒労だったと、理解されてからお帰りになってもらおうか」
剣呑な表情をつくる涼風と、今にも泣き出しそうにしている立花を順番に見ると、手持ちのスマートフォンに電源を入れる。
今ここで、仁居に事態を伝えて、涼風と立花を失意に突き落とすつもりだ。
「……嫌だ。やめ……」
立花は立ち上がって、端末を取り上げようとした。
けれど、それだけの体力もなく、弱々しい声だけが部屋に反響する。
長いコールの音に瑛智は不審がっていたが、やがて無機質なアナウンスが耳に流れると、鬼気迫る表情で涼風のほうを睨みつけた。
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