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第15章ー3 大晦日の会合にしおりをはさみました!
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第15章ー3 大晦日の会合
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大晦日。
保住家の会合は、会合と呼べる代物ではなかった。
てっきり、保住の祖父の自宅で集まるのだろう、なんて高をくくっていた田口だったが、保住に連れてこられたのは、市内のホテル。
ホテルの一室貸し切りだ。
ちょっとした政治家のパーティーじゃないか!
そんなイメージ。
「正装をしてこい」と言った保住の言葉の意味を初めて理解した。
保住の祖父の兄弟から、その子供たちまで。
そして、その家族たち。
総勢100名はいるのではないかと思うほどの豪華さ。
ワインレッドの可愛いドレスのみのりもいた。
保住が参加するということで、彼の母親も姿を見せた。
田口は、あちこちの親族たちに声をかけられて、名刺を渡される。
銀行関係から、一流企業、公務員……。
様々な職種の人たちの集団だが、どの人もそれなりの地位にいる人ばかり。
目を白黒させている田口を、保住は笑ってみていた。
「からかっているのですか?保住さん」
「違う。お前は素直で面白いと思って」
「こんな話だとは聞いていません。もう名刺はありませんから」
「すまない。おれも初めてだから。想像以上だった。すまなかった」
素直に謝られると、返す言葉もない。
遠方からやってきている人たちは、そのままそこのホテルに宿泊をするようだが、地元民たちは自宅に帰っていく。
深夜の0時を過ぎ、新しい年を迎えてから会合は解散となった。
「もう疲れた!来年は来ないんだから!」
ぶうぶう怒っているみのりに、保住は小さい声で「もう今年だが」と訂正を加える。
「何か言った?お兄ちゃん」
機嫌の悪いみのりには、保住も敵わないようだ。
田口は、表情を緩める。
「出会いでもあるならいいけど。結局親族じゃ、何の意味もないじゃないの!こんなんだったら、婚活パーティーにでも出たほうがマシよ」
そう言ってから、田口を見る。
「あらやだ。田口さんがお付き合いの対象圏外だってことじゃないのよ」
「いえ、おれは……」
保住がいいから。
みのりにそういう目で見られたいなんて思ったことはないのだが。
社会一般的に見れば、そういうことだろう。
「田口さんは、お兄ちゃん一筋じゃない。だからってこと」
「え?」
保住と田口は、目を見張る。
みのりは、どこまで感付いている?
「仕事、仕事って顔しているし。もう!詰まんないの。飲み会も進まないし。お兄ちゃんとくっついていると、本当に婚期逃しますからね。それがこれだから。なれの果て」
みのりは、保住を指さす。
「なれの果てって失礼じゃないか?おれはまだ30越えたところだぞ?」
「30越えたらおじさんじゃん。人気でないよ?30とかでくくっているけど、もうすぐ30からも離れていくんだから……」
「悪かったな……」
みのりは容赦ない。
さすが保住の妹だ。
兄に似て、言葉がきつい。
田口は苦笑する。
「もうすぐって。保住さんの誕生日はこれからでしたか?」
そういえば、好きなクセに。
保住の細かいデータは知らない。
その人となりや、人柄が好きだから。
あまり気にしていなかった。
「知らなくていい」
保住はそう言うが、みのりが口を出す。
「この人、いい日生まれなんだから」
みのりは、酔っているのだろう。
頬を赤くして、目が据わっている。
「いい日?」
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