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「…じゃあ、やってみる??」
紫の両手が伸びてきて、怪我をしているαの頬を包み込む。茫然としている嶋の顔をちょいと自分の方に仰向けて、御坊っちゃんはにっこりと微笑んだ。
「僕、今、一人暮らししているんだ。」
ねぇ嶋、と紫の人差し指が相手の唇を幾度もたどる。
「…夏休みの間、一緒に暮らそう。」
クラスの女子から奇声にも似た悲鳴があがった。
「え…。」
硬直している嶋だったが、何とか頭は動く。直感が働いていた。
(やべぇ、面倒くせぇことになっている‼)
本人の意識丸々無視して、話は順調に進んでいた。
「ただし、条件がある。お互い、薬の類はきちんと所持し、服用すること。」
嶋はガクガクと頭を縦に振る。…抑制剤の使用ができなければ、α側は圧倒的に不利になる。
「勝敗の決め方は、もっと簡単。」
御坊っちゃんは、彼らしからぬ大胆な動作で制服の裾を捲り、ほっそりとくびれた腹部を見せた。…何故か周囲にいる女子からまたも盛大な悲鳴があがる。
「…夏休みが終わるまでに、僕が妊娠していたら君の負け。僕が妊娠していなかったら、君の勝ち。」
内心のαは深々と頭を抱えていた。
(先生‼オレ、学年首席の言っている意味がよくわかりません‼今からでも脳外科に行きたいです‼)
だが、α特有の血が彼を喋らせる。
「…その戦いは、オレが勝ったら何かあんのかよ??」
少なくとも、もうαの友人には喧嘩を売って欲しくない。そう考えて、嶋は言った。が…。
「負けた方は勝った方の言うことを一つきく。…だから、君が勝ったら、僕を好きにするといい。」
「…はァ!?」
あんぐりと大きく口を開けるαに、御坊っちゃんは小首を傾げ蠱惑げに微笑んでみせる。
「だから、僕が勝ったら君を好きにするね??」
「…。」
気が遠くなる嶋だった…。
「…わけが、わからん。」
帰路。下駄箱へ続く階段を下りていく嶋の一言に、左右にいる市川と木津が頭を縦に振る。
「不明点その一。…なんでこれまで、かかわりのなかった紫に喧嘩売られたのか…。」
市川が答える。
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