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否定された存在にしおりをはさみました!
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否定された存在
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──リン……
『……先生の言った通りだね。
嘘をつけば自分を肯定できる。自信がつく。おれ、少しは強くなれたかな』
『そうだね。
だけど、それは本当の君ではないよね』
『でも、みんなは嘘のおれが本物だと信じてる。嘘でも、本物になれるんだよ』
『それでも、君は君が本物ではないことを知っている。
君が今ついているのは、本物の自分から逃げるための嘘ではないか、ちゃんと考えてみてほしい。……ぼくは君に、正しい嘘をついてもらいたい』
『……誰にも必要とされないものを、肯定する意味はあるの?
そもそも、本物の自分なんてどこにもいなかったんだ。今のおれは空っぽのぬけがらだ。ぬけがらがぬけがらとして生きることが本当に正しいことなんだとしても、おれはそんな生き方、絶対にしたくない!』
『……オト。ぼくは君が君であることを、ちゃんと知っているよ。
己の存在は己が決めるもの。たとえ大切な人に自分の存在を否定されたとしても、君自身が君を否定しない限り、君はオトとして存在し続ける。
……ねぇ、今、ぼくの目の前にいて、必死に生きようとしている君は、誰なのかな?』
『……おれは……』
──リン……
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